ドラえもん のび太のパラレル西遊記

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監督:芝山努
出演:大山のぶ代、小原乃梨子、肝付兼太、たてかべ和也、野村道子
時間:93分
公開:1988年
ジャンル:
アニメ(日本)ファミリーアドベンチャー

コメント一覧

石田憲司 | 簡易評価: ざんねん | 見た日: 2012年04月28日 | 見た回数: 1回

柴田さんコメントが盛大なので控えめに。ここからは劇場版は見てない(少年くらいになったからかな?ほれ、ドラえもん映画見に行くなんてかっちょわるい。とか意味不明な少年心で)はず。なので、初視聴。スタートです。

うーむ。なるほどごもっともで実につまらない。なんかチェッカーズを思い出させるテーマソングも話と全然合ってないし、ストーリーも何ら心惹かれるもんじゃない。
時代的なものなのか、ドラクエ風味というか、テレビゲームの中に入ったような演出はどっちかというと「シティハンター」(ジャッキーの奴)を思い出すというマイナスポイント。

全般的にダメダメだなぁ。のび太のママの階段を上がってくる所はちょっといい感じのホラー感があったんですが、他が全然ダメでした。何でも藤子不二雄がかかわってない長編映画作品らしいんですが、よくわかってない人がつくったんでしょうかねー。良さが全然出てないのだ。

どうやら存命中の映画作品の中で唯一原作が書かれてないマンガらしく、それもぐだぐだな一因だったんでしょうかね。僕も「残念」で。

柴田宣史 | 簡易評価: ざんねん | 見た日: 2011年08月09日 | 見た回数: 1回

石田さんみたいに残念コメントでさえもエンターテイメントにできれば、書いてて楽しいかもしれないけど、好きで映画を見てるのだから、できれば映画の悪口なんて書きたくないんですよ。

それにね、ドラえもん。何度も悪し様に書いていますが、数少ない、子供と一緒に楽しめる作品としては、やっぱりいいものであってほしい。でもね、本作は、うーん。なんだか気分が悪くて。ドラえもんシリーズ、初の残念コメントです。

* * *

三蔵法師という人はどうやら実在したようです。で、向学心と使命感に燃えて、彼は決死の旅を敢行したのでしょう。その後、仏教という宗教にどのような功罪があったのかは、この際措いておきましょう。ただ、昔は勉強したい、知りたいと思っても、ああやって命を賭した苦労をせねばならなかったのだと思うのです。

しずかは、そういうことを知っているのか知らないのか、三蔵法師に敬意を払います。ほかの三馬鹿は、自分の配役に文句を付けるだけで、特段の敬意を払いません。なぜか。結局、三蔵法師は<よくわからんけど偉い人>程度の存在なのです。

ドラえもん のび太の恐竜」をみた後や、「ドラえもん のび太と鉄人兵団」「ドラえもん のび太の宇宙開拓史」を見たときには、それぞれの作品を見た後に、身に付くといえばあまりスマートな言葉ではないけど、心に残る要素があります。

  • 大陸の移動、タケコプターの電池、ピーすけとの友情
  • リルルの心の動き、ドラえもんたちだけによる地球を守る総力戦
  • ロップルくんとのび太の友情

本作、少なくとも僕には、なんにもそういうものは残りません。その上で、よくわからんけど偉い人である三蔵法師は、やっぱり子供たちにもそうやって受け取ってほしかったのでしょうか? それとも仏教がすばらしいという暗黙の前提の上に立った話なのでしょうか……いや、それはないですね。ドラえもんが特にほかの宗教を悪くいうようなシーンは知りません。でも、何とかならんかったのかなあ。

* * *

ちょっとだけ良いのは、(決して僕がホラー映画好きだからではなく)途中のパラレルワールドの雰囲気ですが、それもなんだか論理的な説得力はなくって、たとえば

  • どっかの段階でタイムパトロールは介入しなかったのか
  • ヒーローマシンには、現実世界にそれらを呼び出す機能をつけるにあたって、なんのフェイルセーフ装置もついていないのか
  • 妖怪たちが支配した世界なんでしょ? いくらパラレルっていっても、なんで根本的に変化しているのでなく、そんなにわずかな変化なの?

なんだかみていると悲しくなってきます。お話にドラえもんたちが登場してたら、そんなことはどうでもいいんですかね。ほかのアニメも、そういうのまったくいい加減なんだろうか。

いやね、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」だって、そりゃおかしいですよ。写真がちょっとずつ消えていくなんて、科学でもなんでもない。でも、ビフが支配した世界は、ちゃんとがらっと様変わりしてるじゃないですか。そういう想像力の面白さみたいなものが全然感じられない。晩ご飯にトカゲのスープでも出しておけって所です。

それとも、あんまり凝ると子供にわかりにくい、というような配慮なんでしょうか? でも「千と千尋の神隠し」とか、あんなにがらっと舞台を変えても、きちんとそれなりに楽しいじゃないですか。そういうのじゃあ駄目なのかしら。

* * *

道具。

<タイムマシンの24時間の誤差>というのは、かなりいい着想だと思うのだけど、今回の物語を成立させるためだけのこじ付けなので、なんだかいまいち。どうせその後も活かされない設定だし。

でも、それを上回るのが<気配アラーム>。何なんですか、そのおおざっぱな道具。亜空間でも使えるの? いったい何に反応しているの? どこが適用範囲なの? うーん、もうちょっとなんとかしてよ〜。

コウモリホイホイ銃。その単機能ダジャレ目的の道具は、いったいなんのために作られたの? ドラえもんっていちおうSF世界でしょ? やっぱりその点でも「ドラえもん のび太の恐竜」あたりは好感を持ってみられることが再確認されますが、もうちょっと科学的・理科的発想で解決してもいいのじゃないだろうか。それともやっぱりそういう道具が<夢がある>ということになっているのでしょうか? あるいは笑うところ? ぼく、空気読めてないですか?

* * *

極めつけはドラミちゃん登場です。丞二と雑談した「ドラミちゃんと出来杉くんが協力して新世界の神になる」話はぜひ見てみたいけど、本作では、なーんの必然性もなく登場です。たぶんね、本当はすべての映画作品で、ドラミちゃんは、ドラえもんたちの行動をずーっと監視してるんじゃないですかね。で、タイムパトロールとかなんとか助かる要素がないときには、登場する──そういった態です。

実際、助ける数カットしか登場しない。

* * *

冒頭。のび太が「孫悟空は実在する!」と主張をします。なんだろうか。大人が否定するものを肯定するのが<夢>だとでもいうのでしょうか。でも、そののび太の主張は、僕にはなにか夢のある発言とも思えません。妖精の実在を疑うと、たしかにティンカーベルは力をなくします。そういう<夢>というものをそんなに悪くいう気は起こりません。でも、このお話、最後までみるとわかりますが、のび太は別段、孫悟空の存在を信じている訳でも、その信念を貫く訳でもありません。のび太は思いつきとその場しのぎだけでしゃべっているのです。なんでですか? もしかするとものすごくリアリズムで描かれているのでしょうか。子供って、そういうもんでしょってこと? なんだかこういう描写だと、夢と信念を持っている子供を馬鹿にしているとも思えますよ。

続けて、ドラえもんがのび太の尻拭いをしますが、それを頭空っぽの対応で完全に無に帰すのび太。挙げての果てには逆切れして「だからドラえもんの出す道具は、いっつも中途半端なんだ」と暴言。ドラえもんの明快なプランを微塵も理解せずにぶちこわしたのはお前じゃないか。

あるいは中途半端な嘘は、早めにバレた方が身のためだという意見もあるかもしれませんが、そういう考えなら、最初から謝ればいいのです。逆に中途半端な嘘を続けることがつらいという話にするのであれば、もっと徹底的にやった方がいいでしょう。

勝手にドラえもんを賭けの対象にしているので、ドラえもんは自分は全く悪くないのに、ジャイアンたちのいうことを聞かねばなりません。嫌そうに道具を出します。なにか一言いってやれよ。お前がみんな悪いんだろう。ホイホイついていくべき場面じゃないだろう。ここもリアリズムなんですか?

* * *

のび太くん、僕は、ほんとうに君のことが嫌いだ。いつもあんまり好きではないけど、本作品では特に嫌いだ。

君の頭は帽子の台か? お願いだから、ほんのちょっとでいいから、工夫をするとか頭を使って考えるとかしてほしい。ドラえもんは何のためにヒーローマシンを出したと思っているのだ? 君のためだぞ。なんで、まったく、まったく完全にそれを理解できないのだ?

ドラえもん のび太とブリキの迷宮」で、ちょっと歩いて疲れただけで長年の友人を見捨てる君の冷たさもよく知っているが、もうちょっと一貫した優しさや、人間味を持ってほしい。もし僕が君と同級生だとしても、僕は君の友達にはなりたくない。たとえドラえもんと同居していなくても出来杉君といた方が楽しいし、僕自身も人間的に成長できるような気がする。出来杉君でなくてもいい。君は新品のラジコンを自慢するスネ夫となんら変わりない。本質的にはラジコンがスネ夫の魅力ではないのと同様、君がドラえもんと一緒にいるということは、君の魅力をなんら増す要素ではないんだよ。

ついでに言うと、スネ夫やジャイアンともそろそろ手を切ったらどうだろうか。「ドラえもん のび太の大魔境」あたりでは、ジャイアンにも男の子らしさがあったけど、最近は彼の主張する友情論もただのマンネリズムじゃないかね? スネ夫も、そもそも人格的魅力が少ない人物だけど、作中でも劣化出来杉君くらいにしかなってない。彼らが成長しないのは、彼らの責任かもしれない。でも、彼らについても君についても、ちょっとずつでいいから成長をしてみたいと思わないだろうか。そのためにもお互いつきあう友達をいちどきちんと見直してみたまえよ。

思いつきでしゃべったり、行動するのは、もういい加減やめないか? 本作の劇だって、君が主人公でなくてもいいじゃないか。みんなで一緒に面白いものを作ろうよ。それにドラえもんのようなすばらしい仲間がいるのだから、もっと創意工夫をして面白いことを考えてみるのはどうだね? ちょっとの工夫できっととてもすばらしいことができる。それが世界のためでなくてもいい、すばらしい冒険をしたこともあるじゃないか。毎年映画を作らないといけないなんて商業主義や大人の理屈は忘れようよ。のび太君、大人になれとは言わない。でも、愛される人になろうよ。応援したくなるような人になってくれよ。そういう話ができるまで、無理にお話を量産するのはやめようよ。ちょっとでいいから、のび太君、僕が言ったことを考えてみてくれないか。

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