カールじいさんの空飛ぶ家 UP

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監督:ピート・ドクター、ボブ・ピーターソン
出演:エドワード・アズナー、ジョーダン・ナガイ、ボブ・ピーターソン、クリストファー・プラマー、デルロイ・リンドー
時間:103分
公開:2009年
キャッチコピー:
愛する妻が死にました──
だから私は旅に出ます。
ジャンル:
ファミリーアドベンチャーアニメ(海外)

コメント一覧

柴田宣史 | 簡易評価: まあまあ | 見た日: 2010年05月03日 | 見た回数: 1回

やっぱりジブリとピクサーは、プラス補正よりもマイナス補正の方が厳しく働くようです。ジブリの位置づけに寄せてみると、「ハウルの動く城」くらいの気持ち。ほかのアニメの追随を許さないくらいの出来だと思うんだけど、イマイチ乗り切れなかったなあ。

WALL・E」なんかだと、冒頭の街の廃墟でわくわくして、イブが出てきてまたどきどきして、宇宙に行くあたりではもうギアもトップに入っていて、宇宙船の中なんかドリフト気分なんですが、本作ではそういう僕にとっての「ギアのあがるところ」がまったくなかったのです。

じいさんでてきて、まあこれが主人公さんだよね、浮かぶところはさすがにいいシーンだけど、意外に飛んでるシーンが少なく、都会を離れて田舎を超えて原始的な世界にたどり着いてギアが一段下がって、なんだか伏線があったと言えばあったけど、犬と鳥が唐突に出てきて、犬の首輪はかなり面白かったけど……とかなんとか。そうか。田舎だからか。うーん、個人的になっとく。

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たぶん物語後半の見せ場で、ある種のメッセージがあるのは、家の荷物を捨てるところだと思うのです。陳腐だけどあえて言葉にすれば、モノよりも、命ある心を持つ少年を優先した行動だと言えると思います。

でもって、ここはたしかに、これから物語が急展開するいいシーンなんだけど、その直前に少年が、カールが鳥を守らず、家を守ったことをなじるシーンがあって、なんだか少年にカチンときちゃったんですよ。

少年は少年らしく、人が大切にしているものを、それが彼にとって大切だと理解できない、というのはリアリズムの見地から正しいのかもしれませんが、無口で妻への愛だけを支えに生きていた老人にとって、その大事な、彼と世界との接続点である家を、しょうもない鳥とひきくらべる、というのが、どうにも……。

隠しテキストはここまでです。


あと、残念ながら、「祖父母」の経絡秘孔のない柴田への訴求度が低かったのかしら。

* * *

いいお話をみた後って、図々しくも「これは僕の物語だ」と気持ちを寄せることができることが往々にしてあります。この「僕の」という所有格は、「僕についての」という意味と「僕の持ち物」としての二つの含意があり、「エド・ウッド」「明日を夢見て」なんかだと前者、「WALL・E」「ナビゲイター」「ライトスタッフ」だと後者だったりするわけです。

きっとのぐちや佐々木くんにとっては「ジュラシック・パーク」が、所有格的「僕の映画」なのかなとおもうのです。映画で、というかああいうふうに恐竜が動くのを、心待ちにしていたでしょ?

もちろんこんなふうに「僕の」と思わなくたって好きな映画、いい映画はたくさんあるので、すべてのよい映画がこの類型にはまる訳じゃないんですが、本作は「僕の映画」じゃあないうえに、田舎なんですよね……。んー。ちょっと期待しすぎちゃったかな。

でべ | 簡易評価: おすすめ | 見た日: 2010年04月25日 | 見た回数: 1回

冒頭10分で号泣。
古典的で卑怯な構成ながらも「もう泣いちゃってもいいか」と。

しかし今回ピクサーえらいなーと思ったのは、こんなに大人にドンピシャな話をきちんとアニメ作品として作ったこと。大人がぐぐっとくる話ではあるけれど、きっと子供にもツボは分かるはず。子供相手だからといって浅くて陳腐でピースでハッピーな話を作る大人は多いけど、そんな風に「子供が見るために大人が考えたはなし」よりも「大人が子供に話して聞かせたいはなし」のほうが、子供も気持ちが乗るんじゃないかな?。思えばピクサー作品はほとんど大人が主人公ですね。「トイストーリー」も子供向けらしい話ではあるけどバズもウッディーも割と打算的な大人だし。以上勝手な想像ですが。ちびっ子たちの反応も聞いてみたいな。

ととんとテンポも良くて久々にあっという間に時間が経ってしまった映画でした。
せっかく石田さんがネタバレ機能使ってるので私も早々に退散します。あ、でもちょっとだけ。

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残念ながらピクサー作品トップの座を奪い取るまでには至りませんでした。舞台が仮想世界でなくいかにも「現実」だったせいか、あまりに非現実が起こるとちょっとだけ「う」と拒絶反応が出てしまって、まあ突っかかる余裕なんてないほど話に引き込まれていたので、ほとんど評価には影響しない…でも入り込んで見ている分、ちょっとした小石でガクンとなるとスピードは落ちないけど「う」と。具体的に言うと、犬、あんなにいろいろ出来る必要あるかなー。アニメだからと言えばそれまで、でも、動物たちを擬人化しながらも元の動物の特性を忠実に特徴的にきちんとキャラクター化して描いてきたピクサーが犬に料理させたり戦闘機に乗せたりしていいんだろうか…。個人的な好みかもしれないけど、犬語翻訳機をつけられた、飼い主に忠実な犬たち、くらいの扱いだったらよかったのに。自分たちでサーブした料理を横から狙ってる姿とか好きだったけど。

でべはいまのとこ、「レミーのおいしいレストラン」、「モンスターズ・インク」の後ろに今作の順、そのあと「カーズ」と「WALL・ E」のどちらかで悩むかな。「モンスターズ・インク」にはそこそこ長くつき合ってきた愛着が評価に上積みされているような気もするので、一度だけ見て、まだ興奮冷めやらぬ「カールじいさんの空飛ぶ家」はいつかまた別のところにしっくり収まってくれるかもしれません。

隠しテキストはここまでです。

石田憲司 | 簡易評価: おすすめ | 見た日: 2009年12月27日 | 見た回数: 1回

まず、前置き。評価からもわかるように「おすすめ」です。が、過度の期待はマイナスにつながりますので、特に期待している人は見るまで読まなくても済むよう、ネタばれ防止機能を使用しています。
当然、ネタばれもしていませんので、読んだからといってどうこう。ということはないです。

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2009年度作品No.1。
その年公開の映画の視聴本数が減っている中、順位付けの重要性がどれほどのもんじゃいな?とも思わなくはないですし、「スラムドッグ・ミリオネア」「グラン・トリノ」「ウォッチメン」「サマーウォーズ」あたりを見るとまた順位も変わってくるかもなぁ。という気もしなくもないんですが、それらを考慮してもベスト3には間違いない。でしょう。

日本にジブリあり、アメリカにピクサーあり。と、勝手に持ち上げまくっている両社の作品。とはいえ、当然それぞれの会社の中でもこの作品が良くて、これはイマイチだなぁという作品も存在するわけで、ピクサーに置ける個人的な最高峰に位置していたのが「モンスターズ・インク」でした。これについては比較的賛同を得やすいのでは?とも思います。次いで「WALL・E」が来て、「レミーのおいしいレストラン」「カーズ」(未見)、がそれに続くでしょうか。
じゃ、今作はどないやねんということですが、

正直ですね、ピクサー内のNo1交代かね。

と言うくらい絶賛。いやー、見事でした。

昨年No2だった(特例のインディを抜けば)「崖の上のポニョ」との比較しても見劣りしないでしょうかね。同年に公開されていたとしたら、さぞやどちらを上に評価するか悩んだことでしょうさ。
まず、大きいのは前述の「ポニョ」が子どもがメイン。でも大人も十二分に楽しめる作品。であるとすれば、今作のターゲットは大人。ただし作りのうまさで子どもが見ても十分に楽しめる作品に仕上がっていると思います。事実、吹き替え版で見たこともあるのですが、会場内は親子連れの多いこと多いこと。でも映画が進む中、面白いところでは笑いが起こり、泣けるシーンでは子どもらのすするような声もちらほら聞けましたしね。

ポニョも確かに通して泣きっぱなしだったわけですが、これは駿フィルタなどによってもたらされていると思うんですね。一方今作については、「ここ泣くところやで」という制作者側の意図にまんまとはまって泣かされており、さらにいえば別段それも気にならないというのが不思議なところ。予告編の段階で、あー、ここは泣いちゃうだろうなぁ。と言う前置きはあったのですが、逆になんだかんだで泣くまではいかないだろうなぁ。見るのも吹き替え版だし。という心意気だったにもかかわらず、実際そのシーンでは泣いてしまい、さらに物語が進むに連れて、派手で楽しいピクサー作品らしさの中に織り込まれるたたみかけにことごとく踊らされていたという感じで泣いたり笑ったりの2時間ちょい。うーん。素晴らしい。

いたってびっくりするようなストーリー展開があるわけ(ま、家ごと飛んでくってのはびっくりすることですが)でもなければ、さすがのピクサー印故に見事な絵づくりながらも、その点では「WALL・E」の方が上だったりもするわけなので、人によってはいや、そこまで良くはなかったよ。という人もいるかもしれませんが、僕個人としては見終わった時の印象が個人的なツボを見事に突つかれた「ビッグ・フィッシュ」(←これツボなんですわ)を見た時に味わった「気持ちよく泣けた映画」と同じような感覚だったこともあって「最高評価」です。
いやー、お見事でした。

隠しテキストはここまでです。

吹き替え・2D版を見ましたが、流行の3D版見てたらどうだったんだろう?もしかしたら逆にそちらばかりに目を奪われて、物語に入り込む度合いがちょっと下がってたかもしれないなぁ。

劇場で見たのですが、今作の前に流れたショートムービーも面白かったし、エンドロールも例に漏れず、なかなか見事でした。よかよか。

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