第9地区 District-9
画像表示切り替え監督: | ニール・ブロムカンプ |
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出演: | シャールト・コプリー、デヴィッド・ジェームズ、ジェイソン・コープ、ヴァネッサ・ハイウッド |
時間: | 112分 |
公開: | 2009年 |
キャッチコピー: 人類、立入禁止。 | |
ジャンル: SF |
コメント一覧
尾内丞二 | 簡易評価: おすすめ | 見た日: 2011年07月07日 | 見た回数: たくさん
石田憲司 | 簡易評価: おすすめ | 見た日: 2011年02月27日 | 見た回数: 2回
なるほど、早く見るようリクエストを沢山いただいてたのもわかります。尾内家のご厚意でやっとこさ見ることができたわけですが・・・、あいやースンバラシイ出来ですな。つい、週末2回+α(特典だのコメンタリーも気になるシーンのとことかもね)。いっぱい週末の深夜使っちゃいましたねー。
感覚的には「クローバーフィールド / HAKAISHA」に近いかな?まあ、フェイクドキュメンタリーの手法が似てると言うにおもありますが、今までこういう風に作られた作品が少ない、また、前述の作品以降、似たものは多く作られてる割に、この手法をうまく使いこなせてる作品がそうなかった中、初監督作品でこうも見事に使えたのは才能か?あるいは初監督作品だったからこそなのか?兎にも角にも、ドキュメンタリータッチのシーンと通常シーンとの融合もうまかった。あと、「ブラックホーク・ダウン」だのなんだのといろんな映画の要素も詰まってるなー。でもそれが某作品(いっぱいある)のようなパク・・・オマージュとかじゃなくて、うまく取り入れられてる感じもして好印象。そもそもそれってオマージュかしら?
南アフリカ、となると都会好きの柴田さんからするとちょい物足りないのかねぇ。とか思ったりはしますが、僕個人としては大満足。もともと田舎は好きですよ。SFネタ好きとしてもアクション映画好きとしても楽しめそうです。ラストの戦闘シーンなんて確かにあれほどごちゃごちゃしてはいないけど「トランスフォーマー」なんかよりはるかにカッチョいいしね。
ちょっとだけ人種問題云々が感じられるわけですが(舞台もそうやし)、まぁ、それでも説教臭かったりという感じはあまり受けなかったですよ。
あと、ストーリーに出てきてない様々な要素がちょっと魅力的で、今作の前に作ったという短編も気になるし、今作の前日譚でも、同時進行の別ストーリーでも色々できそうです。んー。作ったりはしないのかしら?そのへんも前述の「クローバーフィールド / HAKAISHA」と似た印象を受けた一因かもしれませんな。役者さんも全然知らん人ばっかやしね。
また、(これは予定してるのかどうか分からないんですが)「第9地区2」とか「第10地区」とか続編も気になるなぁ。作れそうやし。ただ一方で、あの終わり方で、今作で終わっておくのが正解という気もしなくもない。
では、2010年度個人ランキングについて。たしかに面白かったし、予想通りベスト3入りは確実の出来でした(こんなコト書いてても、後でどんどんいいのが出てきてはランク落ちすることもありますがね。)。年によってはベスト作品となってもおかしくない作品。なので、単体評価としては文句なしの「オススメ」。
ですが、んー。この辺は個人的な好みでしょうかね?「インセプション」の時のようなぞわわー。という鳥肌感まではいかなかったかな?ということで暫定2位。ただ、うーむ「トイ・ストーリー3」が残ってますね。あのシリーズ好きだしピクサーだしなー。維持できるかな?
柴田宣史 | 簡易評価: おすすめ | 見た日: 2010年08月22日 | 見た回数: 1回
例によって、製作を書けないので、付記しておくとピーター・ジャクソンです(とは言っても、毎回書きたいもんじゃないかなら難しいですよね)。
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地蔵盆で家族一同ヘロヘロになりながら視聴。
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たしかに定石破りのよい例。
サティやシェーンベルグが不思議な調子の音楽を作ったとしても、やはりそれはたとえば、「音」であるとか「時間」であるとかそういった制約を超えることはできない。いわば「音楽」の土俵に居続ける上での破調だったりする。
本作についても、生活になじむエイリアン、「ザ・フライ」的恐怖、都市の上に浮かぶ巨大円盤、奪還作戦等々、部品自体に目新しさはないけど、うまい指揮者が力強く、ぐっとまとめた感じ。
大胆なのは、フェイクドキュメンタリー手法が再注目されてからこっち、だれもが「それはやっちゃだめでしょう」と思ってた手法を、悪びれもせず、さらっとやっちゃう。そーか、たしかにその手があったか、と思わせられちゃう。
そういうやんちゃなことをしつつも、Good Old Movieの展開をきちんと押さえているので、120分弱でそれなりにハピーにしてくれる。
石田さん、これくらいのできだったら、きっと「インセプション」の地位を脅かせますよ!
でべ | 簡易評価: おすすめ | 見た日: 2010年08月13日 | 見た回数: 1回
もはや映画に未来はないのだ。
と誰かが言う。
でも「新しいもの」はいつでも、どこにでも、いたるところにあって、発見されるまでは、世界にあふれているのに誰も存在に気づかない。発見できる能力のあるものにだけ、手を触れることが出来る。ちょうど「メン・イン・ブラック」の宇宙人のように。
なんでこんな話かというと「第9地区」が見たことないものだったから。
テーマは宇宙人。ありふれていて目新しくもなく使い古されたボロ雑巾のようなモチーフ。なにしろスピルバーグが嫌がるくらいなんだから。
タイトル見たら分かる人にはひと目でわかる(らしい。勉強不足)南アメリカのアパルトヘイト時代の「第6地区」ベースにあるそうだけど、あまり批判的に見ないで欲しい。そこが出発点だったとしても社会派サスペンスという箱には収めたくない。
宇宙人に対していくつか不満はあるものの、それは途中で忘れられたし、ぜひまた見たい作品。
着々と2009年アカデミー作品賞最終候補をこなしていっていますが、「ハート・ロッカー」はどんなもんでしょうね。
おまけ:
面白いと評判だと言ったら丞二に「だれに聞いたの?」と返され、考えてみたら明和電機社長ブログで読んだだけでした。でもその文章が印象的だったので残ってたんですね。映画のことは何も書いてないんだけど。
明和電機 社長ブログ「ヒーローの悩み方あれこれ」
映画のメイキングで時々
『ここはCGでもできるけど実写で撮ったんだ。CGはリアルじゃないからね。』
という製作者のコメントを聞くことがある。
僕はこの種のコメントが嫌いだ。
この数年で映画界におけるVFX技術は目覚ましい進歩を遂げた。現在のコンピュータグラフィクスで描き出される映像世界は、その業界の人間でさえ本物と区別はつかない。
では何故『CGはリアルじゃない』というコメントが多いのか。
原因は大きく2つある。
一つはSFXに分類される“マペット技術”を偲ぶ古い映画屋のノスタルジー。
そしてもう一つは『CGはお金が掛るものだった』という問題。本当は予算がなかったからカラクリ人形を使ったクセに、格好つけて『こっちの方がリアルだ』と嘘をついているのだ。
…どちらにせよ、なんとも程度の低い欺瞞である。
しかし時代は変わりつつある。
指人形に執着する古い人間が一線を退き、コンピューターグラフィクスは制作コストを大幅に下げた。
本作のメイキングでのニール・ブロムカンプ監督のインタビューが実に爽快だ。
彼は誰に遠慮することもなく『あれもCG』『これもCG』と解説をしていく。『大変だったけどねー。』
今まで数多くのメイキングを見てきた僕も、実際に実写合成のノウハウを聞けて参考になったのは今回が初めてである。
ブロムカンプ氏に『マペット技術の方がリアルだと思いませんか?』と聞けば、きっと彼は鼻で笑って言うだろう。『アンタ本気でそう思ってるの?』と。
ついに映画業界は現実と区別のつかない虚構を作り上げるテクノロジーを手に入れた。
それは自由に天候を操り、物理法則を飛び越え、想像の中だけに住まう幻影を呼び出す技術である。
さて。これからなにを作ろうか…?