耳をすませば
画像表示切り替え監督: | 近藤喜文 |
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出演: | 本名陽子、高橋一生、露口茂、小林桂樹、高山みなみ、 |
時間: | 111分 |
公開: | 1995年 |
キャッチコピー: 好きなひとが、できました。 | |
ジャンル: アニメ(日本) |
コメント一覧
尾内丞二 | 簡易評価: おすすめ | 見た日: 2008年11月27日 | 見た回数: とてもたくさん
でべ | 簡易評価: 判断保留 | 見た日: 2008年09月29日 | 見た回数: 未記入
わたしも長いこと見てないワ。
細かいディテールにはどんどん詳しくなっていくけど。
柴田宣史 | 簡易評価: おすすめ | 見た日: 2008年09月28日 | 見た回数: とてもたくさん
紹介の必要がないほどの作品ですが、Amazon の評価がすごいですね。2008年9月末現在で177レビューうち150あまりが5ツ星(のこりのひとも4ツ星)。ランキングが、
5位 ─ DVD > 日本映画 > アニメ > キッズ・ファミリー
5位 ─ DVD > 日本映画 > アニメ > スタジオジブリ
ってなってるから、どれ1位は何じゃろうと思ったら、 上位はほとんどジブリが独占 なんですね。
テレビなどで放映されると、見ていていたたまれなくなった人が発作的に自殺してしまい、自殺率が上昇したという都市伝説もあるそうですが、むしろ僕にとって印象的なのは、けっこうな回数を視聴しながら「あんな駄作!」と叫び続けるある一人の男の存在です。
僕? 僕はもちろん大好きですヨ。いたたまれなくなることがないこともないですが、いまのところ耐えてますし。
* * *
081127追記:
「あの男」がコメントしてくれたので、記念追記します。
そうね、「駄作」とは言ってなかったかもね。批判の対象は、「この映画のことを好きなおっさんたち」なんですね。論点は了解しました。また駄作発言についてもお詫びと訂正をします。
でも、まあ自身で言及しておられる通り、登場人物への感情移入だけが映画を楽しむ唯一の方法ではないので、この映画の誰かに感情移入をしている人ばっかではないでしょう。僕が自分がこの映画の中の誰かに相当する、としたら、せいぜいフエ吹いてるおっさんくらいでしょうか。
きっとジョージは、この世界に近すぎて、そういう分析になるんだろーなト。僕なんかホラ、大人だから。しっかり客体視していますヨ ;-)
僕を知る者の多くは「ジョージは“耳をすませば”が嫌いだ」と思っているようだ。
いちおう断っておくが、僕はこの作品を中途半端な“自称映画好き”以上に繰り返し観てきた。
少なくとも一人で15回以上、複数人でなら5回以上は観ていると思う。
この物語の主人公は“雫ちゃん”という元気で夢見がちな女子中学生である。将来のことなどあまり考えないし、男の子にも興味がない。
そんな雫ちゃんが、ある一人の男の子(天沢くん)と出逢ったことをきっかけに『自分が本当にやりたい事』と真剣に向き合い始めるのだが、『自分が本当にやりたい事』と『今の自分ができる事』は常にイコールだとは限らない。
それまで一本道だと思っていた人生が、最初の一歩を踏み出してみて初めて先の見えない迷路だったことに気付くのだ。
それとは対照的に、天沢くんは人生の目標を明確に持っており、中学を卒業すると同時にイタリアへ職人修行へ行くのだという。
自分と同じ次元で物を考えているとばかり思っていた男の子が、自分を置いてドンドン迷路の先へ足を進めるのを目の当たりにした雫ちゃんは、孤独な焦りと言い知れぬ不安に追い詰められていく…。
思春期という荒波に翻弄されながら、挑戦することの意味を学んでいく少女の姿を見ていると、美大受験を控えていたころの自分を思い出して切ないような寂しいような気分になってしまう。
簡易評価も“おすすめ!”だし、これを『駄作』と評するつもりは毛頭ない。
ここまでが前置き。
これより先は物語の核心に触れる表現が含まれるので、まだ見ていない方は読むのを控えて下さい。
長年“映画好き”をやっていると、時々『“耳をすませば”が大好きです!』と言い切る男に出会うことがある。
これを言うのが女の子ならば異論はないのだが、イイ年こいたオッサンがそう言うのだ。
…おいおい、ちょっと待ってくれよ。
このテの青春映画を観る際は、いかに主要な登場人物に感情移入できるかが鍵になってくると思うのだが、健常な男子中学生だった経験のある者が感情移入できる対象は“野球部の杉村”だけであり、そんな杉村はちょっと空気が読めないお邪魔虫だったりする。コイツに感情移入した日にゃ物語中盤で置いてきぼりを喰らうのがオチである。
主役の雫ちゃんは我々男にとっては宇宙人にも等しい永遠の謎“女子中学生”なワケだし、雫ちゃんが想いを寄せる天沢くんときたら、スポーツ万能で学業の成績も良く、音楽のセンスも抜群で、しかもハンサム。…こんな男子中学生は実在しません。
もしもこの二人のどちらかに感情移入が可能な男がいるとしたら、それはもう『神の声が聞こえる』と主張する連中みたいなモンだと思う。8割がたは気のせいで、あとの2割は酔っ払い。
とは言ったものの、なにも感情移入こそが映画を観る上で唯一無二の楽しみではない。
魅力的な登場人物たちや、それらを包む世界観、あっと驚く意外な展開なども映画を「最高」にするスパイスといえる。
…しかし残念ながら、この映画にはそのどれ一つとして存在しない。
作中で最も魅力的といえる人物は、雑貨屋の主人(天沢くんの祖父)が相当すると思うのだが、このジイさんも相当なクセ者であると推測される。
“女子中学生の視点”を通して描かれているから『ハイカラで品の良い老人』という印象を与えるが、人生をリタイアした隠居の身であるにも関わらず、戦時中のごたごたで知り合った青い眼のパツキン美女に未練たらたら。
孫がいるということは日本で所帯を持って子供も作ったはずであろうに、パツキン美女とペアで買った猫のフィギュア(定期的にメンテナンスもしている)を片手に妄想ざんまい。
なあにが『…メランコリックというのかな?』だ!
おお、気持ち悪い!!
今時の女子中学生に『貴女に見せたいモノがあるんです』なんて言ったら犯罪者扱いされちゃうぜ。
世界観に関して言えば、これといって特徴のない閑静なベッドタウン。魅力もクソもない。
雫ちゃんがラリって見る世界はそれなりに面白いのだが、描かれ方が不十分(「遠近方が逆転する」と言っておきながら特に逆転はしなかったり)。
物語中盤で待ち受ける“あっと驚く意外な展開”には、天沢くんが『イタリアのクレモーナって町』に修行に行くと言い出すシーンなどが相当するが、これに至ってはほとんどジョークである。…へえへえ。バイオリンと言えばやっぱイタリアでやんすか。
こんな現実離れした展開で「そうきたか!」と膝を打つもんか。
…ついでに言えば、これまで多くの物議を醸してきたであろうラストシーン。
イタリアでのプチ修行を終えた天沢くんが、雫ちゃんを朝日の綺麗な丘に連れ出して「結婚してくれ!」宣言。
…もう勘弁してくれよ…。
そりゃあ頭脳明晰で運動神経抜群で芸術家気質なハンサムは何をやっても許されるのかもしれん。それまで「月島ァ」と素っ気なく苗字で呼んでいたのに突然「雫ゥ!大好きだぁ!」と叫んで抱きついてきても、ロマンチックが止まらないんだろうさ。
…だがいいか。これだけは忘れてくれるな。
お前ら…絶対うまくいかねーよ!
だいたいそもそも付き合ってすらいねーじゃん!!
…え?ナニ? これを機に付き合う…?
別れるよ! 三ヶ月で別れる!!
ああ、雫ちゃん…。
悪い事は言わないから、そんな現実離れした王子様はやめときなって。
オジさん、野球部の杉村の方が地に足がついた安全パイだと思うなあ…。
…とか考えてたら、エンドロールで杉村と親友のユウコがいい感じに…!?
はい!親友消えたー。
もう、ダブルで消えたー。
これから楽しい高校生活が始まろうってのに、数少ない友達とも気まずくなって『あたしのカレシ、今イタリア行っててー。』とかボヤくちょとウザい女子高生。
もういいよ…。
オジさんもう何も言わない。
…でもね、雫ちゃん。
万が一にも天沢くんの帰国後にヨリが戻ったとして、猫のフィギュアなんかを持って帰ってきてたらすぐにでも捨てさせるんだよ…。
ようするにこの映画は
『少女漫画特有のご都合主義と妄想をいっぱいに詰め込んだジブリ饅頭』
である。
こんな映画を『大好き』と公言するような男は、少女が悩むのを見るのが好きな変態か、天沢くんに感情移入できるナルシストの変態か、杉村に感情移入できるドMの変態かのどれかだと思います。
…とまあ『いいトコ無し』みたいに聞こえるかも知れませんが、僕はこの映画で初めてセーラー服の構造を知りましたよ。
「へえ?、そうやって脱ぐんだー。」なんつって…。
さあ!
変態は誰だ!?