ブリッジ・オブ・スパイ BRIDGE OF SPIES

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監督:スティーブン・スピルバーグ
出演:トム・ハンクス、マーク・ライランス、エイミー・ライアン、アラン・アルダ
時間:142分
公開:2015年
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その橋を踏み外せば世界が終わる。
冷たい戦争を止めたのは、
ひとりの男のやさしさだった。
ジャンル:
サスペンスドラマ実話スパイ

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柴田宣史 | 簡易評価: おすすめ | 見た日: 2016年10月12日 | 見た回数: 1回

スピルバーグは「プライベート・ライアン」で、ノルマンディ上陸作戦を我々に見せてくれたけれど、本作では「一夜にしてできた*1」と言われるベルリンの壁構築を見せてくれる。このようにベルリンの日常が破壊されたのか、という描写はとても説得力のあるものでした。

ベルリンの壁の構造は、池上彰の『そうだったのか!現代史』で知ったのだけど、本で説明されているような壁を越えて、本作の主人公ジェームス・ドノバンは東西のスパイ交換の交渉を進める。

ここから先はお話の核心に関わる記述があります。このリンクで読み飛ばせます。あるいは次の見出しにスキップしてください。

前半部分、東側スパイの弁護というだけでもスリリングに描かれていて、将来の人質交換の可能性の示唆で、スパイの量刑を操作してしまう手口は見事。これに加えて、東ドイツを主権国家としてアメリカに認めさせたい東ドイツ政府の思惑と、なるたけ優位に人質交換をしたい米ソの思惑をテンスのある演出で気持ちよく見せてくれる。

アメリカ人は、スパイであっても、弁護士をつけた公平な裁判を受けさせる自国を誇って良いと思うのだけど、スパイを弁護するドノバンの立場は悪くなっていく。しかし逆境にあっても、東ドイツに捕まった学生やソ連のスパイを見捨てることをしない。これは賢い人の合理的な思考の結果なのか、無批判的な素朴な善の信念によるものなのか。あんまりにも立派な人で、ぐうの音も出ない(映画の最後でも語られるけど、ピッグス湾事件の捕虜帰還交渉でも活躍する巨人)。

スパイの立場を思って、人質交換の分かれの際、ドノバンが、スパイに母国での今後を尋ねる。スパイは「人質交換の際、私を抱きしめるか、あるいは後部座席に静かに座らせるかでわかる」と答えるのが、これも印象的でした。

隠しテキストはここまでです。

ところで、恒例(?)の邦題いちゃもんですが、本作のスパイは、原題を尊重して複数形にしないとなんだかモヤモヤします……。


  • *1 もちろん一と晩でできるわけではないけど

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