こんなにラブシーンの多いジブリ、びっくりでした。連れ合いへの愛をあるだけ相手に伝えることが、限られた時間を、精一杯生きるとことだったのがよく伝わってきます。だからラブシーンの一つひとつが切なくてつらかったです。

アニメーションもたいへんよかった。関東大震災は、災害の風景ではあるのだけど圧巻だし、煙、油、涙、なにをとっても、デフォルメが良く、動かすのが面白くて仕方がない感じが伝わってきます。

お話も落ち着いていて、明らかに戦争を扱っているのに、平和を錦の御旗にしたような説教臭さも感じないし、比べるならスピルバーグの「ミュンヘン」のような物腰。

というわけで、ケチをつけるところがないようなのだけど、じつは見るのには結構体力を使いました。僕のコンディションの問題かもしれないけれども。

＊　＊　＊

あと、石田さんは「気にならない」と言っていましたし、僕もあんまり悪く言うのは野暮な気がしないわけではないし、庵野秀明のことだって悪く言いたくないのだけど、声優は、控えめに言っても興ざめなレベルと思えてなりません。

これはけっして主人公だけでなく、かなりの登場人物に言えるのですが、画面と声が分離して聞こえるレベルなんですよ。

「魔女の宅急便」のウルスラなんて、きちんと顔から声が聞こえてくるのだけど、本作は、横でヘタクソな友達が吹き替えてるみたい。

声優って、そんなに重要なものでない、と考えられているのか、僕は、もうちょっとマシな世界があると思うのだけどなあ。

他方、印象的だったのが効果音。地震も火事もエンジンもひとの声のようなんですが、これがなかなか良かったです。

ちょっとあえて避けてた引退作品。何となく暗そうで戦争テーマで意味深で、ついつい、子供が楽しめる作品を愛してる精神年齢が子供な僕からすると、ついつい手が伸びなかった（録画はしてた）んですよ。
でもまぁ、「永遠の０」見たあと、ゼロ戦つながりだったらアリかなと‥・・ということです。

食わず嫌いでした。とってもいいじゃないか。

そりゃテーマがテーマだし、子供向けじゃないのもわかるし、若干暗い気持ちにもさせられるってのはありますが、それでも宮崎アニメっぽい躍動感も感じられる。これを見ると、うーん、例えば先日見た「思い出のマーニー」が物足りなく感じたのも納得です。

一方、戦争映画としては戦時中の暗くて重苦しい空気感も伝わってくる。それこそ「永遠の０」は一体何をやっていたんだ？と言いたくなるようなね。

後半のクダリとか、結構キューッとなってしまい（これはいつものジブリスイッチとは違う感じで）ちょっと泣いてしまったりもしたんですわ。
声がどうこうってのは言われてるかもしれないけど（庵野さんが主人公）、それも全然気になりませんでしたよ。

はい。頻繁に見るようなもんではないと思うんですが、また見ても良いとおもいました。いやー、変なフィルターがかかっててみるのが遅れましたが、良かったです。オススメでいいんじゃないかなぁ。