おくりびと
画像表示切り替え監督: | 滝田洋二郎 |
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出演: | 本木雅弘、広末涼子、山崎努、余 貴美子、吉行和子、笹野高史 |
時間: | 131分 |
公開: | 2008年 |
ジャンル: ドラマ |
コメント一覧
石田憲司 | 簡易評価: おすすめ | 見た日: 2013年10月08日 | 見た回数: 1回
柴田宣史 | 簡易評価: おすすめ | 見た日: 2009年10月12日 | 見た回数: 1回
プロの仕事というのは、目を吸い付けますね。手早く、しかしほとんど様式美と言ってよいような鮮やかさで、ある動作の終わりはほかの動作の原因になり、そういう動作のつながりが視線を外すことをさせないのかと思いました。
そうそう、あと「石文(イシブミ)」。陰下さんに借りた向田邦子のエッセーにも書いてあって印象的だったのですが、ほんとうにこんな粋な風習があったのでしょうか?
「碑」と読み方が同じなのも気になるのですが、もし、言葉のない時代にあった風習であれば、きっと言葉は生まれず、言葉のある時代にこの風習があったのであれば、それは非常にエロくていいなあ、とおもいます。
宝石のように、きれいにまとまった映画だと思うのですが、一言だけイヤなことを覚え書きします。
途中、広末涼子さんがレコードをかけ、それを聞いた主人公が「親父が好きだった曲だ」というシーンがあります。これ、なんだかやけに現代風の曲だなあと、ちょっと調べてみたら、やっぱり映画オリジナルの曲でした。
ここでそれはないだろー、ト。
「どんな曲が好きだったのか」は、ほとんど語られない父を知る上で大事なシーンだと思います。このシーンで、どんな作曲家のどんな曲が流れるかで、父親像に厚みが出ると思うのですが、オリジナルの曲を流すことであわや映画全体を嘘にしてしまいかねないシーンだと思います。
久石譲の音楽が悪い訳ではなく、むしろきれいだと思いますが、よい作品は、徹底していてほしいなあと思うものです。ほんのちょっとの瑕が、致命的に興をそぐことがあるので。
でべ | 簡易評価: おすすめ | 見た日: 2009年07月26日 | 見た回数: 1回
とっても日本映画らしくあるけど日本映画の退屈さが「ほとんど」ない作品。
ひねりもなく予定通りに淡々と進む物語。
さびれた田舎の少しズレた人たち。
控えめだけど絶妙な間のユーモア。
平凡でありきたりなもの、ともすればつまらない要素ばかりだけどうまく積み重ねると、こんなふうに不安のない良い映画になるんだなー、と。起こるべきところでことが起こる安心感て映画であまり出会わない。予定調和はつまらないものであり、ドキドキハラハラして裏切られた方が気持ちよかったりする。
「あ、こうなるな」と思うとこうなる。それで「ああ、よかった」と思う。
そんな気持ちよさが筋書きにも、一人ひとりが淡々と仕事をこなしていくような役者陣にも、映画全体にも感じられて、素直にいい映画だったなーと思えた。見終わったあと襟を正して座り直したくなるような。
いい映画だったからこそ「ほんの少し」残念なのは時間の長さ。どんなに素晴らしい映画でもこういう静かなお話で2時間を超えては、それだけで点数を下げてしまう。いま思い返せばいい映画だったと思えるけど、後半は筋ももったり、時間も長く、現場で集中力をなんどか繋ぎ止めるのは過酷で、少しウンザリしていたのも事実。ただそれすら正直に「残念だった」と言えるくらいに良かったんだけど。
あと、あちこちで酷評を見てしまったのであんまりたくさん書かないけど、広末さんは若過ぎでした。主人公の奥さんである彼女の言い分や態度を、見る側はある実感を持って知るべきなのに、あれではただの我がままな都会の小娘に見えてしまいます。
多分僕の言語能力や文章力では上手く表現できないんで、良かった。としか書けないんですが、あ、こーいうのだったらできるな。「チョー良くない?(語尾上がる)」みたいな女子高生的(←でもないかな?)な感想。
とにかく、重すぎもせず、かといって薄っぺらい事なんてなく、とっても良かったのだ。
変な邦画とかばっか見てると、ついつい全部が「赤い糸」のような感動作ばかりだと思い込んでしまうフシがあるんですが、こーいうのを見ると、邦画もいいねぇ。爆発とか全然しないけど。血も流れないけど。とか思っちゃう。
いやね、下手に賞なんかをとっちゃうと若干斜に構えた見方をしちゃうじゃないですか。僕とか含め若干ひねくれてる人ってさ。大分マシにはなったものの、そ~いう視点がないかというとそうでもなくって、ちょっとあかんところとかそ~言うのをぎょろりと見ちゃう自分がどっかにいるわけですよ。
そ~言う偏屈さ加減をふまえ、無理やり突っ込めばなんかしら書けるんでしょうが、そーいうこと考えるのはちょっと勿体無い。ただただじんわりといい映画だなー。とか思える一本でした。
今のところ滝田洋二郎の田舎舞台の作品。外れがないなぁ。