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柴田宣史 | 簡易評価: おすすめ | 見た日: 2008年05月25日 | 見た回数: 1回
映画の役者というのは概して格好のいいものだ。その格好のいい役者たちの中には、回を重ねていくと、いつか名優と呼ばれるものがでてくることがある。
格好よいという便利な言葉の枠にはまるのかはまらないのか、性格俳優という言葉がある。スティーブ・ブシェーミやゲイリー・オールドマンがそれにあたるだろう。性格俳優は、もちろん名優になり得るのだが、ジャック・ニコルソンやマイケル・キートンみたいなのになると、別の名称──「怪優」という言葉が加えて与えられるのではないだろうか。
何がいいたいかというと、その怪優のひとりであるアンソニー・ホプキンスに会いたくなって、この「世界最速のインディアン」を見たが、この映画では、かつてレクター博士という強烈な個性を印象づける役をやっている男にも関わらず、それにまったく殺される(「タイプキャスト」というらしい。ん、ちょっとちがうか。)ことなく、僕の中にバートという好々爺をみごとに印象づけられてしまった。冒頭、バートが目を覚ますシーンから始まるが、がばっと目が覚めるバートの顔が、「あれ、これ誰だろう」と一瞬思わせる。思えばその時点で、もう「世界最速のインディアン」を見るための気持ちにパッキリとチューニングされたような気がする。
映画の中身も見応えがあった。特に激しい起伏のある筋ではないが、ロードムービーのよさ、モータースポーツ愛好家たちの気持ちのよさ、バートの一途さが心地よく描かれている。
僕自身は「夢を持て」という言葉をばかばかしい言葉だと思っている。それは何かに向かって一所懸命な人をバカにしたいわけはない。先に生まれた連中が、現代社会の無目的的な状況の中で、若い世代に対して、力なく、無責任に「これでも食べておけ」といって投げ渡される言葉に思えるからだ。バートの夢も消費社会の産物なのは間違いない。なにせバイクのスピード競争だから。しかし、スピードに没頭することが、彼の人生にとって意味を増しているということは、「充実した5分は一生に勝る」という彼の言葉に現れているのだろう。
また、どうやって年を取るのか、は柴田とのぐちの時々の話題でもあり、その観点から僕はバートをなかなか忘れられないだろうと思った。
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映画の役者というのは概して格好のいいものだ。その格好のいい役者たちの中には、回を重ねていくと、いつか名優と呼ばれるものがでてくることがある。
格好よいという便利な言葉の枠にはまるのかはまらないのか、性格俳優という言葉がある。スティーブ・ブシェーミやゲイリー・オールドマンがそれにあたるだろう。性格俳優は、もちろん名優になり得るのだが、ジャック・ニコルソンやマイケル・キートンみたいなのになると、別の名称──「怪優」という言葉が加えて与えられるのではないだろうか。
何がいいたいかというと、その怪優のひとりであるアンソニー・ホプキンスに会いたくなって、この「世界最速のインディアン」を見たが、この映画では、かつてレクター博士という強烈な個性を印象づける役をやっている男にも関わらず、それにまったく殺される(「タイプキャスト」というらしい。ん、ちょっとちがうか。)ことなく、僕の中にバートという好々爺をみごとに印象づけられてしまった。冒頭、バートが目を覚ますシーンから始まるが、がばっと目が覚めるバートの顔が、「あれ、これ誰だろう」と一瞬思わせる。思えばその時点で、もう「世界最速のインディアン」を見るための気持ちにパッキリとチューニングされたような気がする。
映画の中身も見応えがあった。特に激しい起伏のある筋ではないが、ロードムービーのよさ、モータースポーツ愛好家たちの気持ちのよさ、バートの一途さが心地よく描かれている。
僕自身は「夢を持て」という言葉をばかばかしい言葉だと思っている。それは何かに向かって一所懸命な人をバカにしたいわけはない。先に生まれた連中が、現代社会の無目的的な状況の中で、若い世代に対して、力なく、無責任に「これでも食べておけ」といって投げ渡される言葉に思えるからだ。バートの夢も消費社会の産物なのは間違いない。なにせバイクのスピード競争だから。しかし、スピードに没頭することが、彼の人生にとって意味を増しているということは、「充実した5分は一生に勝る」という彼の言葉に現れているのだろう。
また、どうやって年を取るのか、は柴田とのぐちの時々の話題でもあり、その観点から僕はバートをなかなか忘れられないだろうと思った。