エクソシスト The Exorcist

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監督:ウィリアム・フリードキン
出演:エレン・バースティン、リンダ・ブレア、ジェーソン・ミラー、マックス・フォン・シドー
時間:132分
公開:1973年
ジャンル:
ホラーオカルト

コメント一覧

柴田宣史 | 簡易評価: おすすめ | 見た日: 2017年11月03日 | 見た回数: たくさん

なんとなく見直したのですが、リーガン、うちの長女と同い年の12歳なんですね。ふーん。

最近テレビシリーズでリメイクされるそうですね。

http://video.foxjapan.com/tv/exorcist/

それにしても「エクソシスト ドラマ」で検索すると、胡散臭いくらい、「公式」を冠したページが引っかかりすぎですね。

柴田宣史 | 簡易評価: おすすめ | 見た日: 2016年08月12日 | 見た回数: たくさん

娘と、なぜだか本作の話になり、ちょっと飛ばし飛ばしでも、深夜3時頃までいっしょに視聴。

いやね、娘が「死霊のはらわたII」がどうにも怖い、「エクソシスト」のほうが怖くないっていうので、じつは、「死霊のはらわたII」もちょろっと見たのですよ。

ぜったいに「エクソシスト」のほうが怖いと思うのだけどなあ。

石田憲司 | 簡易評価: おすすめ | 見た日: 2011年09月03日 | 見た回数: 3回

もともとホラー系はあえて積極的に。というスタンスはとっていないこともあり、なかなか見る機会が少ないんですが、今作はそんな中でも数少ない複数回見てるホラー作品の一つ。
※一番見てるホラーってなんやろ?「エイリアン」かな?

怖かったです。以前と違うのは娘の立場に対する認識の違いでしょうかねー。今見るときっと「エミリー・ローズ」も以前以上に怖いと感じられるはず。

確かに若干の古さってのもあるんですが、作品の出来がいいのか、ちょっと古い作品だねぇ。ってのはあまり感じませんでした。それも好印象の一つ。
また、悪魔系はドラキュラについで好きなジャンルなのですが、下手なドラキュラ作品より緊張感も店舗も良くて遙かにおもろいんですな。

ストーリーに関してはなんとなーくの概略だけで、殆ど覚えてなかったです。
ラストのカラス神父が○○で☓☓という結末も、あれ?そうだっけ?やっつけて・・・とか、若干「ドラキュラ」のヘルシング教授とごっちゃになってたってのも事実ですかね。

まぁ、何しかホラーに関しては素人のみからするといかに怖がれるかがキーなのでその点でも充分に「オススメ」です。

柴田宣史 | 簡易評価: おすすめ | 見た日: 2010年07月29日 | 見た回数: たくさん

「B級映画」という言葉はあるけれど、「A級映画」とはなかなかいわない。なぜかというと、ただのトートロジーになってしまうけど、だいたいにしてB級映画以外は、B級映画ではないからです。じゃあ、B級映画って何かというと、これは基本的には低予算映画のことを指す言葉で、転じて出来のイマイチな映画を指すこともあります。しかし一方で、低予算でもB級と呼ぶのがはばかられる作品もあり、なにがB級かということを一概には言えません。

つまり「なにをB級映画とするか」については人によって意見が分かれるのですが、「B級映画」のもう一つの側面は、それがホラーかコメディ特有のものだということです。愛や人生、あるいは正義や夢について描いた作品は、なかなかB級映画と呼ばれにくく、逆にホラー映画などは、9割方B級だといっても過言ではないと思います。

そういう前置きをおいた上で、この映画は断じてB級でない、と言いたくなる作品があります。それが本作「エクソシスト」です。

キューブリックの「2001年宇宙の旅」が、当時の技術がどうだとかみんなさておき、時代を超えて名作と呼ばれるのと同じように、本作は、もし何年か経ってどこかでリメイクされたとしても、そのリメイク作品とは確実に別物として評価される作品だと思うのです。

* * *

ここまでがいわば「前置き1」で、ここから「前置き2」です。

先日、松田くんが家に来てくれました。しばらく子供たちと遊んだりしてくれていたのですが、早々に子供たちはダウンして、なんとなく二人の時間になり、映画の話になりました。

で、まあ、松田くんはホラー映画をあまり見ないと、そういう話になりました。人のいやがることの好きな、もとい自分の友人があたらしいパラダイムを獲得することを無上の喜びとする柴田としては、そりゃいいホラーを見なくっちゃ、というわけで上質なホラーである本作を棚から引っ張りだしてきました。奇しくもその日のお昼、中古屋さんで400円で売っていた「エクソシスト」です。

* * *

本作はワシントンD.C.のジョージタウンを舞台にしていますが、映画製作より20年以上前の1949年に、ジョージタウンから15kmほど離れたメリーランドでの実際の事件から着想を得て書かれました。

原作者のウィリアム・ピーター・ブラッティは、ホラー映画として本作を撮るのでなく、ドキュメンタリー作品のように撮りたいと考え、「フレンチ・コネクション」で高評を得ていた、ウィリアム・フリードキンに監督を頼んだそうです。二人とも大変な凝り性で、カラス神父の友人であるダイアー神父など、本物の神父を使い、出来上がった映画はバチカンに送って、当時の公式エクソシストに事前にみてもらったそうです。

以下、『エクソシストとの対話』(著: 島村菜津)からの引用です(括弧内、柴田の補足)。

「それで(試写を見た)神父は何とおっしゃったのですか?」
「ごらんになって、少女の首が360度回転するといった誇張を除けば、かなり評価なさったそうです」
「ああいうことは、実際にはやっぱりありえないわけですね」
「悪魔は人の目を欺くといいます。当事者に、どういう現象が見えるかは、また別問題ですが、しかし、あれでは奇跡のレベルです。悪魔は神の創造物ですから、人間に幻影を見せることはできても、奇跡というものは起こせない。最後に若い神父が自分に悪魔を乗り移らせて自殺しますが、神学的には、悪魔は司祭を外から妨害することはできても、憑依することはできないとされています神の力をお取り次ぎするからこそ、悪魔祓いも可能なのですから・・・。けれども、それも映画的誇張ということで許される範囲だとおっしゃって、全体的には気に入ってらしたようです」

つまり、首が回るのと、最後のカラス神父への憑依以外は、まあいいんじゃないのという、公式エクソシストからのお墨付きを得た訳です。
むしろ、それに対する妄信は嫌悪するくらいで、超常現象への強いあこがれなんかを持っている訳ではないのですが、こんなの読んじゃうと、なんだかちょっとうれしくなっちゃうじゃないですか。

しかし「リアルだから」「実際の事件をもとにしているから」が、本作の魅力の本質ではないと思うのです。本作の魅力は、物語の構成を含めた大きな意味での「構図」にあると思うのです。

* * *

後半、カラス神父、メリン神父が、リーガンの部屋に入ると息が白くなります。リーガンのいる部屋は寒いのです。メイキング(というか、後に作られた特集番組)で、フリードキンらが語るのですが、

いまだったら、コンピュータグラフィックスを使えば、ちょっと高くつくけど、白い息を出すのなんて簡単にできる。でも、私たちがやった方法は、コンピュータグラフィックスなんかより遥かに金のかかる方法だったよ。(大意引用)

はたしてそれはどんな方法か。まさしくオッカムの剃刀なのですが、部屋を寒くしたらいいのです。毎日、4台の巨大なクーラでがんがん冷やして、マイナス40度まで室温を落として撮影したのだそうです。でも撮影用のライトを当てていると、どんどん温度が上がってマイナス15度くらいになる。するとライトを落として、また温度が下がるまで待つ。かわいそうにリーガン役のリンダ・ブレアは、その中で薄いネグリジェでがんばったのだそうです(たぶんスタントのアイリーン・ディーツも)。

で、このシーン。見たらわかるのですが、寒くした甲斐があると思うのです。何の説明もありませんが、ややアオりの構図で部屋に入ってくる二人、そしてあの白い息から、ぎゅーんとした緊張が伝わってくるのです(ちなみにDVDについているメイキングは、確実にファン必見だと思いますが、この「クーラ4台」をはじめとして、小躍りするような小ネタが満載です)。

* * *

今度は中盤ですが、まだカラス神父に相談を持ちかける前、挙動のおかしくなり始めたリーガンを精神科医に見せ、心理療法を試みるシーンがあります。

やや薄暗い部屋。ソファに座ったリーガン。精神科医とのやり取りがあります。

精神科医:リーガンの中にいる者に言う
この催眠術に感応してすべて答えるのだ
進みでて、答えろ

部屋の写真立てが落ちる。
落ちた写真立てから目を戻すと、リーガンの表情が豹変し、苦しそうにうめいている。

精神科医:中に棲む者か?

リーガンの表情が落ち着きを取り戻すが、その顔はすでに12歳の少女の顔ではない。

精神科医:何者だ?

ソファのリーガンを斜め上から見下ろすショット、はじめ正面を見ているリーガンがカメラをにらむ──

……と、この構図がとっても格好いいのです!

* * *

なんというか、やや文章が空回りしていて主張がわかりにくいと思うのですが、言いたいのは「かっこういい」ということなんです。

フリードキンは、そりゃドキュメンタリーのように撮りたかったのでしょう。またブラッティは、ただのホラー映画以上のメッセージをこの作品に盛り込みたかったのでしょう。でも、そういった目標を目指して出来上がったものは、まさに完成した宝石のような作品で、こんなにかっこうよくなってしまったと思うのです。

きむさんもむかし見て、ずいぶん怖かったと言っていたと思います(たしかきむさんは映画館に行ったのじゃなかったっけ?)。一緒に見ていた松田くんには、「怖いという人は多いけど、序盤は、かなり眠い映画である」ということを再三付言しながら見ました。「怖い」という人がいるのはよくわかるのです。間違いなくホラー映画なのですから。でも、同時に非常に上品に作られていて、まるでバルコニーでお辞儀をするマリー・アントワネットをみるような気持ちになります。

* * *

つづく「エクソシスト2」は、正直ひどい作品ですが、この上品さは「エクソシスト3」「エクソシスト・ビギニング」には受け継がれていると思います(両作品とも、異論を唱える人はいると思いますが)。ので、「シリーズ、全部見なさい」とは言いません。でも、まだ見てないのでしたら、本作は間違いなく「おすすめ」です。

僕自身は何回も見ている作品ですが、松田くんの最初の一回を、一緒に過ごすことができたのは、かなり幸せです。「運命」や「巡り合わせ」なんかで、人生が決まってたまるかとおもいつつも、この日400円でDVDを購入できたのは、非常な幸運だと思います。

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