「裏切りのサーカス」でもスパイをしてるけど、こういうスパイのコリン・ファースを見られるとは思わなかった。

「キック・アス」は、間違いなくアメコミヒーローものなんだけど、見てると不思議な定石外しを感じるんです。で、本作も間違いなくスパイ映画だけど、なにかしらの定石外しがあるように感じました。

ジャンルムービーをリバイズしているというと言い過ぎだろうか、くだらない映画なのは、そりゃそうなんだけど、いつもすこし新しいものを見せてくれる監督な気がします。

コリン・ファースの起用もそんな感じで、思いもよらない彼のアクションがすごくいい。長回しのような緊張感を保ちつつの大立ち回りは、廊下アクション系の快感が満喫できます。

音楽はいかにも「キック・アス」と同じなんで、ちょっと別の味わいを見てみたかったけど、じゅうぶんおすすめで。

いやー、面白かった。

スパイ映画としてはトム・クルーズのMIシリーズがあって、復活の007という2シリーズ以外、結構これ！っていうスパイアクションってのがあまり思いつかない。

そりゃ、例えば「スパイ・ゲーム」とかはかっちょいいけど、アクション全開かと言われるとそうでもないし、一方で僕は好きだけど「トリプルX」が素晴らしいかというと、疑問符がつく。「ボーン・アイデンティティー」とか、スパイかと言われると、ん？スパイ・・・かな？くらいだし。

そんな中、今作ですよ。久々に爽快なアクションスパイ映画。気持ちの良いキレキレ格闘シーンやキャラの濃い敵役。スパイ道具の数々。それが2時間ぶっ通しで続くんですもの。

お子様たちに見せるにはちょっと下品で黒くて血みどろで、んー。まずは「スパイキッズ」あたりからどうかね？子供っぽすぎる？んじゃ「ミッション・インポッシブル」だ！・・って言っちゃうかもしれませんが大人が見る分にはそのあたりも嬉しい演出。（追記：R15でしたね）

シリアスすぎるんで、好きだけど疲れちゃうというダニエル・クレイグ版「007」。コメディ路線に走ってしまった、個人的にはあまり好きじゃない、古めの「007」。
それぞれのイイトコを抽出した、古くてでも新しいスパイ像だなぁ。とか思ってみてました。

さて、主人公のあの青年がどれくらい立派な紳士になって帰ってくるか、続編も楽しみだなぁ。