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でべ | 簡易評価: おすすめ | 見た日: 2010年08月15日 | 見た回数: 1回
どんでん返しを楽しむ映画がある。 残念ながらひところの流行りにのって、いまや若干使い古された印象がある手法かもしれない。「シックス・センス」以降、どんでん返しブームは行くところまで行き着き、「ラスト○○分××秒、あなたは衝撃の事実を目撃する!!(びっくりびっくり)」みたいな本編殺しの予告編も横行したからだろうか? それでもどんでん返しの面白さは明らかだ。映画を観ていて最後に「はっ」とか「おっ」とできるのは気持ち良い。ただし、いくつかの条件が重なって、自分に合うちょうど良い水準のどんでん返しに出会うことはなかなか難しい。映画を観る、もしくは物語を受取る能力は人それぞれだから、どんでん返し映画のターゲットは意外と狭いのかもしれない。
難しさ1:適切なヒント。 Aが犯人だと思わせておいて、実はBが真犯人だった!という場合、Aが犯人であるとミスリードしつつ、Bが犯人にもなりうるヒントをこっそり忍ばせておく必要がある。しかもできれば、どんでん返しの前に「Aってことはないよねー、実はBあたりが怪しいんじゃ・・・」くらいは思っておきたい。ヒント無しに最後にBが突然出てきたら、それがどんなに意外な真実だったとしてもがっかり。 さらに言えば、真相が分かったあとでもう一回見直したときに「あー、なるほどね、確かにああしてるわー、気がつかなかった!」とか言って楽しみたい。一回見て犯人が誰か分かってしまったらもう見る価値のない映画なんて残念すぎる。
難しさ2:てんでバラバラの観客。 1が作り手の難しさなら、こちらは見る側の問題。身体に合わない洋服を着ちゃった場合、ラストシーンについていけなくて「え?どうして?何が起こったの?」となってもつまらないし、逆にかなり早い段階で「あら、分かっちゃった。なーんだ」となると残り1時間30分、苦痛で退屈な時間を過さなければならない。どちらにしてもピンポイントで上手くハマった人以外はどんでん返らない映画を観たことになる。
さて、十二夜の話。 「から騒ぎ」に引き続き、でべにして2本目のシェイクスピアの映画。当然ながら面白かった。正直印象としては「から騒ぎ」とあまり変わらず、芝居がかっている分「から騒ぎ」の方が個人的には好きだったかも。 で、なんでどんでん返しの話だったかというと、ほぼあらすじを知らずに見始めて、途中ですっかり最後まで分かっちゃったから。最後に答え合わせがあって、そこまで全部分かっちゃっていても、やっぱり人の気持ちを離さないってすごいなーと素直に思って。秘密があって、充分なヒントで観客はみんなそれを知っていて、その時点で観客のレベルとか関係なくみんな同じフィールドに立てて、誰も漏らさずに楽しめる感じがあって、黒澤明がエンターティナーなんだなーと柴田さんが言っていたように、でべもシェイクスピアの凄さがなんだか分かってきたのでした。
話は変わって。 「から騒ぎ」、「十二夜」と2本だけど見ていて不思議だったのは、ご主人と使用人たちの関係。確かに主従関係なんだけれど、わたしの抱いていたイメージに比べて友好的?親しい間柄?立場ははっきりしつつも「差別」する感覚はまるでない。そういう時代だったのか、そういう理想だったのか、とにかくハッピーエンドのお祭りは身分とは関係なく本当にみんな手を取り合って歌って踊る、その喜ばしさが爽やかで気持ち良い。
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どんでん返しを楽しむ映画がある。
残念ながらひところの流行りにのって、いまや若干使い古された印象がある手法かもしれない。「シックス・センス」以降、どんでん返しブームは行くところまで行き着き、「ラスト○○分××秒、あなたは衝撃の事実を目撃する!!(びっくりびっくり)」みたいな本編殺しの予告編も横行したからだろうか?
それでもどんでん返しの面白さは明らかだ。映画を観ていて最後に「はっ」とか「おっ」とできるのは気持ち良い。ただし、いくつかの条件が重なって、自分に合うちょうど良い水準のどんでん返しに出会うことはなかなか難しい。映画を観る、もしくは物語を受取る能力は人それぞれだから、どんでん返し映画のターゲットは意外と狭いのかもしれない。
難しさ1:適切なヒント。
Aが犯人だと思わせておいて、実はBが真犯人だった!という場合、Aが犯人であるとミスリードしつつ、Bが犯人にもなりうるヒントをこっそり忍ばせておく必要がある。しかもできれば、どんでん返しの前に「Aってことはないよねー、実はBあたりが怪しいんじゃ・・・」くらいは思っておきたい。ヒント無しに最後にBが突然出てきたら、それがどんなに意外な真実だったとしてもがっかり。
さらに言えば、真相が分かったあとでもう一回見直したときに「あー、なるほどね、確かにああしてるわー、気がつかなかった!」とか言って楽しみたい。一回見て犯人が誰か分かってしまったらもう見る価値のない映画なんて残念すぎる。
難しさ2:てんでバラバラの観客。
1が作り手の難しさなら、こちらは見る側の問題。身体に合わない洋服を着ちゃった場合、ラストシーンについていけなくて「え?どうして?何が起こったの?」となってもつまらないし、逆にかなり早い段階で「あら、分かっちゃった。なーんだ」となると残り1時間30分、苦痛で退屈な時間を過さなければならない。どちらにしてもピンポイントで上手くハマった人以外はどんでん返らない映画を観たことになる。
さて、十二夜の話。
「から騒ぎ」に引き続き、でべにして2本目のシェイクスピアの映画。当然ながら面白かった。正直印象としては「から騒ぎ」とあまり変わらず、芝居がかっている分「から騒ぎ」の方が個人的には好きだったかも。
で、なんでどんでん返しの話だったかというと、ほぼあらすじを知らずに見始めて、途中ですっかり最後まで分かっちゃったから。最後に答え合わせがあって、そこまで全部分かっちゃっていても、やっぱり人の気持ちを離さないってすごいなーと素直に思って。秘密があって、充分なヒントで観客はみんなそれを知っていて、その時点で観客のレベルとか関係なくみんな同じフィールドに立てて、誰も漏らさずに楽しめる感じがあって、黒澤明がエンターティナーなんだなーと柴田さんが言っていたように、でべもシェイクスピアの凄さがなんだか分かってきたのでした。
話は変わって。
「から騒ぎ」、「十二夜」と2本だけど見ていて不思議だったのは、ご主人と使用人たちの関係。確かに主従関係なんだけれど、わたしの抱いていたイメージに比べて友好的?親しい間柄?立場ははっきりしつつも「差別」する感覚はまるでない。そういう時代だったのか、そういう理想だったのか、とにかくハッピーエンドのお祭りは身分とは関係なく本当にみんな手を取り合って歌って踊る、その喜ばしさが爽やかで気持ち良い。