ショーシャンクの空に The Shawshank Redemption

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監督:フランク・ダラボン
出演:ティム・ロビンス、モーガン・フリーマン、ウィリアム・サドラー、ボブ・ガントン、ジェームズ・ホイットモア
時間:142分
公開:1995年
ジャンル:
ドラマ

コメント一覧

尾内丞二 | 簡易評価: おすすめ | 見た日: 2010年08月25日 | 見た回数: とてもたくさん

先日、友人がこの映画の感想を書いていたのですが、僕の印象とは違うアプローチで観ていたので、僕なりの感想を書いておきます。


『刑務所からの脱走』は古くから数々の映画のモチーフとして描かれてきた。
監獄生活から抜け出すために、歯を食いしばってスプーンで壁をホジホジ。

マックイーンの「大脱走」などはまさにその代表で、監禁生活から逃げ出す事に人生の全てを費やしたりする。
しかし今回の映画「ショーシャンクの空に」はそのような“脱獄映画”ではない。

この映画はアンディ・デュフレーンという不思議な男の物語である。

アンディーは真面目で学もあるエリートなのだが、まったくと言っていいほど感情的な人間ではない。
酒もタバコもやらず、毎日毎日職場と家の往復。目立った趣味もそれにそそぐ情熱もない。

妻殺しの濡れ衣を着せられて投獄されるも、それに対する怒りや悲しみは見せず、ただ淡々と環境に適応しようと毎日を過ごしていく。

そんな彼が脱獄を企てるのだが、その計画ですら不屈の精神に支えられて成り立つようなカッコいいイベントではない。
アンディは脱獄を“趣味”にしたのだ。

どうせ趣味だから毎日ちょっとずつ楽しむ。
一刻も早く脱獄するのが目的ではなく『そのウチ外に出れるかもなぁ』ぐらいのスタンスで穴を掘り続ける。

アンディは『希望こそ命だ。』というが、これも“ヒトは希望がなくては生きていけない”という意味ではなく、“生きてさえいれば希望は常に共にある”という意味なのである。

今回の作品では、そんな草食系男子のアンディのパーソナリティをレッド(モーガン・フリーマン)の視点から見たナレーションで描写している。
…したがって、アンディが本当は何を考えていたか?もしくは何を感じていたか?は最後まで明らかにはされないのだが、それがいっそうカタツムリのように静かで穏やかでありながら、狂気にも似た一貫性を持ち続けるアンディの生き方をヴィヴィットに浮き立たせている。

作中でレッドが言う。
『地質学の本質は時間と圧力だ。…アンディは地質学を愛した。』

海のように荒れ狂うワケでも、火山のように熱く燃えたぎるわけでもないが、そのエネルギーは世界で最も巨大な山脈をも作りだすのだ。

そしてアンディは刑務所を去っていく。

…で、物語エンディングへと向かうのですが、

でべのコメントでは『エンディングの砂浜があまりに晴れ晴れとしすぎて、それまでの閉塞感とのギャップがありすぎて気持ちよく入ってこない』と感想を述べている。

That's my girl !! さすが僕のヨメ。
普通、この映画のエンディングを本当に理解できるようになるためには、物語の主人公に感情移入できるまで繰り返し10回くらいは視聴しなくてはならない。

視聴回数の少ないでべがエンディングに戸惑うのは至極当然である。

ここで肝心なのは『この物語の主人公はアンディではない』という点。
この物語の主人公はレッドなのである。

彼は映画の後半でこんなことを言っている。
『終身刑はヒトを廃人にする刑だ。最初は刑務所の壁を憎むが、次第に慣れていき、最後には頼るようになる。』

当のレッド自身も、刑務所を囲む壁に頼らなければ生きていけない人間になってしまっているのだが、物語後半の時点でレッドに感情移入ができていれば“友こそが刑務所の外で頼るべき壁なのだ”と判る。
先に仮釈放になったブルックも、カラスのジェイクと再会出来てさえいれば死ぬことはなかったかもしれない。

そしてエンディング。
“記憶のない海”を眼前に臨む、真っ白な砂浜を歩くレッド。

その景色は正に“自由”の象徴であると同時に、彼が長年従ってきた規律の消失を思わせ、映画を観る者を不安にさせる風景でもある。

しかし視線の先にはアンディがいる。
植物のように平穏で、山のように揺るぎない存在と再び出会うのだ。

レッドの心境を正しくトレースしていないとただの寂しい画に見えてしまうので、映画の演出としてはかなりの冒険をしていると思うのだが、それでもラストをこの風景で締めくくろうと英断したフランク・ダラボンには敬意を表したい。


最近はエロコメ映画のコメントが続いていたので、久々に普通の映画解説になりました。エロコメ映画じゃ“英断”とか“敬意”とか使いにくいもんね…。

本当は真面目な批評もできるんですよ、ボク。

でべ | 簡易評価: おすすめ | 見た日: 2009年09月13日 | 見た回数: たくさん

結婚する前のこと。
ボーイフレンドは、映画を見慣れないガールフレンドにどんな映画を見せたら喜ぶか、その日の彼女のコンディションや気分を見極めて慎重に映画を選んでいた。彼女が途中で眠ってしまわないように、かつ彼女が頑張らなくても楽しめるように。映画好きな彼自身のためにもガールフレンドを映画嫌いにしてはいけなかった。
彼の計画はおおむね功を奏し、ガールフレンドは2時間という時間にも慣れ、役者の顔を覚え、以前よりも寛容に映画鑑賞ができるようになっていった。
ある夜、彼はガールフレンドに聞いた。
「今日はどんな映画が見たい?」
これはいつもの決まり文句。ガールフレンドが「笑って元気になりたい」「良くできたシリアスな話が見たい」と答えると、その要望にぴったり合った「いい」映画を彼が選ぶ。二人のちょっとした遊びだった。

***

わたしがなんと答えたのか、全く覚えていない。とにかくその日、丞二が満を持して選んだのが「ショーシャンクの空」だった。とにかく覚えているのは見終わったあと、わたしがイマイチな顔をして、丞二が残念がったということ。

久々に見直して「いい映画じゃないの」と思うと同時に当時の気持ちも何となく思い出した。ラストの陽気な晴れ晴れしさが、それまでの暗くじっとりした話に比べてライトで爽やか過ぎてどうも気持ちよく入ってこないのだ。
話のほとんどは陰湿な刑務所での生活と、スティーブン・キング特有の泥臭くて陽気で下らなくて熱い男の友情の絡み合い。画面の色も役者もストーリーもいいバランスでぐぐっと引き込まれる。目が離せなかったのに、そこまでのバランスが素晴らしかった分、ラストシーンで急に別のところに連れて行かれてしまうようですっきりしなかった。
あのシーンがあってこその「ショーシャンクの空に」だったことも理解できるし、必要だったと思うけど、ラストを知っていて二度目、三度目見てもやっぱり違和感があるなあ。

好きだしいい映画だと思うしお勧めなんですけどね。ティム・ロビンス好きだし。

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