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柴田宣史 | 簡易評価: おすすめ | 見た日: 2008年11月05日 | 見た回数: 1回
多くの人がほめているものをほめるのは結構気が楽なものだと思う。 また、それがマイナーなものであれば(一見「多くの人」という言葉と矛盾をするが)、なおほめやすい。 だから安易な道なのかもしれないが、確かに、本作「中川信夫 東海道四谷怪談」は、よくできていました。
たしかにずいぶん昔の作品なので、「リアリティ」という面では、現代の作品にいくらか引けを取るとは思いますが、なんというか手間を惜しんでいない感じが伝わってきます。お岩さんは、伊右衛門の私欲のために謀殺されますが、基本的に彼女の幽霊としての姿は伊右衛門にしか見えないものとなっています(このあたりも「幽霊」の解釈として非常に適切だと思います)。伊右衛門にしか見えないお岩さんはあの手この手で伊右衛門を苦しめます。そのときの伊右衛門の心象風景が、けっこういいのです。ほんの数秒のカットのために、部屋の中を沼に変え、一面の戸板に伊右衛門を乗せ、端々にお岩さんの存在を感じさせます。その間、およそ15分くらいだと思うのですが、この15分がなかなかの緊迫感なのです。 また、映像技法(というべきかどうかですが)としても、結構おもしろいです。まずは長回しが多い。冒頭からけっこう、ぐるぐる長回しをするのです。また格子越しの構図が多用されるのですが、これもなんというか癖になる良さがあります。
というわけで結構よかったのですが、コメントとして付け加えたいのは、4歳の娘の反応でした。 とにかくお岩さんが怖いようなのです。僕もずいぶんと怖かったので気持ちはよく分かります。 映画のつくりとしては一貫して、伊右衛門にしか見えない幽霊だったので、娘には、「そもそも幽霊などというものはいないし、悪い人は後ろめたいことがあるから見えるのだ」と説明できたのですが、最後に一言。
娘:あの映画はなんて言う名前なの? 僕:四谷怪談だよ。 娘:三ツ矢サイダーも怖いの?
おあとがよろしいようで。
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多くの人がほめているものをほめるのは結構気が楽なものだと思う。
また、それがマイナーなものであれば(一見「多くの人」という言葉と矛盾をするが)、なおほめやすい。
だから安易な道なのかもしれないが、確かに、本作「中川信夫 東海道四谷怪談」は、よくできていました。
たしかにずいぶん昔の作品なので、「リアリティ」という面では、現代の作品にいくらか引けを取るとは思いますが、なんというか手間を惜しんでいない感じが伝わってきます。お岩さんは、伊右衛門の私欲のために謀殺されますが、基本的に彼女の幽霊としての姿は伊右衛門にしか見えないものとなっています(このあたりも「幽霊」の解釈として非常に適切だと思います)。伊右衛門にしか見えないお岩さんはあの手この手で伊右衛門を苦しめます。そのときの伊右衛門の心象風景が、けっこういいのです。ほんの数秒のカットのために、部屋の中を沼に変え、一面の戸板に伊右衛門を乗せ、端々にお岩さんの存在を感じさせます。その間、およそ15分くらいだと思うのですが、この15分がなかなかの緊迫感なのです。
また、映像技法(というべきかどうかですが)としても、結構おもしろいです。まずは長回しが多い。冒頭からけっこう、ぐるぐる長回しをするのです。また格子越しの構図が多用されるのですが、これもなんというか癖になる良さがあります。
というわけで結構よかったのですが、コメントとして付け加えたいのは、4歳の娘の反応でした。
とにかくお岩さんが怖いようなのです。僕もずいぶんと怖かったので気持ちはよく分かります。
映画のつくりとしては一貫して、伊右衛門にしか見えない幽霊だったので、娘には、「そもそも幽霊などというものはいないし、悪い人は後ろめたいことがあるから見えるのだ」と説明できたのですが、最後に一言。
おあとがよろしいようで。