茶々 天涯の貴妃(おんな)

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監督:橋本一
出演:和央ようか、寺島しのぶ、富田靖子、高島礼子、余貴美子
時間:129分
公開:2007年
キャッチコピー:
女は、負ける戦をしてはならぬもの。
ジャンル:
時代劇歴史ものドラマ実話

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石田憲司 | 簡易評価: ざんねん | 見た日: 2010年02月01日 | 見た回数: 1回

キャッチコピーに対するお返事:
では、この映画こそ、公開してはならぬもの。

全国5050万人の残念映画愛好家の皆さんこんばんわ。今回は歴史超大作、「茶々 天涯の貴妃」です。主人公は宝塚の男役のトップスター和央ようかさんを抜擢。監督は「極妻」とか「仁義なき〜」を撮った(しかとったことのない)橋本一さん。そりゃ、おんどりゃー。歴史をなめたらいかんぜよ、映画になること請け合いですね。

さてさて、冒頭の書き出しからもわかるよう、自信を持ってお届けする「残念映画」。これと比較するなら、前に上げた「ストリートファイター ザ・レジェンド・オブ・チュンリー」なんか主演女優さんも頑張ってたし、2ランクくらい上げてあげてもいいなぁ。と思ってしまうくらいの出来でした。

年末〜年始にかけて歴史づいていた石田家としては、とりあえず見とくか。という今作でしたが、出だしから大きな壁が立ちはだかります。まず、話が眠たくて、なんとか見終わるのに2日かかったこと。これが通勤シアターであればまぁ、わかりますよ。「さぁ見よう」と奥さんと二人で意気込んで見始めたにもかかわらず、あえなくふたりとも撃沈。
自宅だから?いやいや。
なにせ盛り上がりもなけりゃ華もない。演出もグダグダで、セットやらなにやらも「どこにお金使ったんだ?」という疑問符付き。予算計上は映画だが、実は「太秦映画村」を守るため。ということであれば多くのファンも納得するんじゃないかと思うんですが(しないってば)、実のところ、脇役に大物俳優をいっぱい使ったので、イッチョカミなのにいっぱいお金がかかっちゃったんじゃないかと推測しています。

主演の茶々さまは、少女時代を演じた子役の子こそまだましだったものの、大人になってしまうと宝塚の男役そのままに女性を演じ、しかもこういう事で女性の容姿について言及するのはどうかとも思うのですが、なんだか歯がガジガジで噛み付かれそう。しかも常に怒っている(ようにみえる)。夢に出てきそうで怖かったです。しかも、秀吉を暗殺しようとしたくだりでの彼女と来たら、刃物を振り上げ、目を見開いて・・・特殊効果を用いずとも十分ホラークイーンになれる素質十分。
自分だけを見に来ているタカラヅカの舞台と異なり、厳しい目で見られるかもしれない、けなされるかもしれな。という恐怖感から来ていたのでしょうか。あるいはヤクザ映画しかとっていない監督からあえて「怒ってなさい。ぷりぷりと。」という映画冒頭の指示を真に受けて前編にわたってそう演じてしまったからか。まぁなんといっても初出演ですしね・・・いやいや。

さて、物語はまさに中学の歴史の教科書のごとく薄っぺらーく進んでいきます。割と最近に「利家とまつ」などを見てたこともあってあの時代のこと、多少は理解出来ていたのですが、それでもついて行くのに精一杯。いつの間にか戦も終わり、いつの間にやら捕虜になったり、いつの間にやら開放されたり、いつの間にやら結婚していたり。そんなざっくりと飛びまくる話の中で、所々のエピソードがこれまた主役の「茶々様こそ悪」を重ねて行く作り。サブタイトル「暗黒の女帝」だっけ?と不安になりました。

話はラスト大阪夏の陣にまでとんでいきます。関ヶ原だの大阪冬の陣なんて取り上げる必要はありません。だって茶々様にフォーカスあたってないですもの。
ということで、とても「泣くまで待ち」そうもない中村獅童演じる徳川家康が攻めてきます。しょうがないので、最後の戦いに挑む淀君(茶々様ね)。降伏を迫られるものの、戦力や実力から和議すべし。という重臣たちを見る目がこれまた怖い。「はぁ?ここ私の城やで。何を言ってるのだあいつは。当然戦いや。ボコボコにしたるぜ」と、ほぼ一存で決めつけ、戦へとつき進んでいきます。
そこからがすごい。鎧兜を着飾り、自ら馬にまたがり、はいよー。パカラっパカラっと、家康の陣まで一っ走りして喧嘩を売りに行きました。なんで鎧着たんだ??という疑問は、その後発覚。何故かその姿を見て部下の兵士が盛り上がるんだな。そういう光景、どっかで見たことあるなー。と思い出したのは「ジャンヌ・ダルク」のミラ・ジョヴォヴィッチ。ただし、彼女のように戦うことはいたしません。鎧兜を着るのも馬に乗るのもそこだけ。大将がそれではなかなか勝てないのですよ。

大将は出てこなくても、武将たちはやはり戦い散っていきます。「こいつ誰やねん」という多くの武将らがスローモーションで殺されていきます。これは今作のアクションシーン全般に言えることですが、かたっぱしからスロー再生になります。監督の趣味じゃないかと思うんですが「カッコいいとはこういう事さ。」と思っているのでしょうかね。違いますよ。たぶん。
また、いやー、激しい戦いのシーンはさすがはヤクザ系の監督さんだけあって、もう、血しぶき吹きまくりです。「座頭市」(北野版)もそうだったじゃないかという方もいらっしゃるかもしれませんが、今作はもう一山。返り血なのか自分が切られた血なのかはわかりませんが、そりゃもう、頭から血のりをかぶったかのように真っ赤になります。人体の構造をあまりわかっていないので、もしかしたら本当に切られたら、上からバケツを被ったかのように血が飛び出るのかもしれませんが、そういうのもなかなか見たこと無いなぁ。
あとはまぁ、歴史が示すとおりにサクサクと攻め落とされます。最後の頼みの綱、真田幸村の奇襲も失敗に終わり討死(でも、たぶん100発くらい撃たれても立ってた。さすがは名武将なのだ。)。「おぉ、なんということかー。」とまたホラークイーンな顔を見せてくれました。最期まで裏切らんね。

敗北です。残念。結局一度も戦場に立ちませんでしたね。ともあれ、あんだけ我侭言い放題で戦に持ち込んだ挙句に、いい人な印象を残そうと人質の千姫を逃がし、名誉挽回を狙ったものの、なんというか全編通して、悪いのこいつじゃない。のイメージを植え付けられている身からすると、火に油を注ぐようなもの。
「常に気丈に振舞っていた彼女も本当のところは・・・」的な若かりしころの回想シーン。そして・・・大阪城大爆破!ゴジラの放射熱線を浴びたかのようにあの大阪城が砕け散ります。そして締めは「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」ばりに世界に光の粒が降り注ぎ平和が訪れます。なんだこりゃ。
ということで、たぶん宝塚の彼女のファンとかから見たらかなりお叱りを受けそうな内容になってしまいましたが、まぁ、笑ってください。全ての元凶は演出・脚本であって、役者さんには罪はないかもしれませんが、つまんなかったことに偽りなしです。

残念映画愛好家からすると自信を持って「残念」が付けられる一本ですよ。

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