K-20 怪人二十面相・伝

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監督:佐藤嗣麻子
出演:金城 武、松 たか子、仲村トオル、國村隼、高島礼子
時間:137分
公開:2008年
ジャンル:
アクションミステリーアドベンチャー

コメント一覧

でべ | 簡易評価: なかなか | 見た日: 2009年10月21日 | 見た回数: 1回

純真で心がやさしい青年はハトと仲良し。

江戸川乱歩が好きな人は怒るだろうとのふれ込みだったけど、ここまで違ってしかもまあまあ納まりのいい話に仕立て上がっているんなら、別もんとして楽しんでもいーんじゃないのかと。「少年探偵団」の読者としては突っ込まずにおれないことはたくさんたっっっくさんあるけど、「怪人二十面相仮面かぶってないよー、それはオペラ座の怪人だよー」とか「変装は?顔隠してるだけじゃん」とか「明智先生そんなデキル感じの人じゃなくてもっとぽわわ〜とした人だよー」とか「明智先生と小林少年は主従関係じゃないんだよー」とかね。江戸川乱歩の作品を読んだことはないけど、予備知識はあって「なんとなく知ってるよ、こんなんでしょ?あー、二十面相?仮面のひとね、明智小五郎とライバルなんだよねー」とか思ってる人が作った話みたい。調べたらどうやらそうではないようで監督さんは江戸川乱歩はじめミステリーものをたくさん手がけているテレビ屋さんのようです、すいません。

アクションVFX映画作りたくて「リターナー」撮って、「三丁目の夕日」撮って売れて儲かって、次に作るのがああこれかーと大きく首を縦に振る次第です。
冒頭の空撮っぽい街の俯瞰が格好よかったなあ。「CASSHERN」とか「スチームボーイ」とか好きだしなあ。

はからずも江戸川乱歩の誕生日に。

石田憲司 | 簡易評価: おすすめ | 見た日: 2009年10月28日 | 見た回数: 1回

いやー。久々に血湧き肉踊る面白い邦画でした。ハリウッド的な、あまり内容のないただ楽しいだけの邦画ってなかなかないんですが、これはまさにそうでした。

原作はどうやら読んだことのないアナザーストーリーみたいなのですが、映画としては昔読んだ「怪人二十面相」の雰囲気は出てたと思いますし、まさか邦画でパルクール(参照:wikipedea、「ヤマカシ」とか「007 カジノ・ロワイヤル」とかで使われてますね)が見れるとは思ってなかったし、話の筋も予測できるけど期待通り。
役者さんたちも大根というよりは、わざと原作の若干過剰で大根風な演じ方をしてたんじゃないかと・・・(金城くんとか、はまぁ、顔がいいからね。よしということで)。

昔読んでた印象からすると、たとえアナザーストーリーとわかってはいても、「なんか、明智くんちょっと違うなー。」とか「この小林少年いけ好かないなぁ。」とか、「二十面相らしいトリックってないの?」とかが若干物足りない所があるのも事実。一方で田村正和=明智くん、世界の北野=二十面相というスペシャルドラマ「明智小五郎対怪人二十面相」というのがあり、話としてはあちらの方がより「江戸川乱歩」寄りだとは思うんですが、どっちが面白かったかというと、全然こっちの方がいいですね。

ということで、作品としては「なかなか」くらいかもしれませんが、邦画のアクション映画でもここまで楽しいのができるということも加味して(若干柴田さんのニュアンスとは違うかもしれませんが、)ずばり「おすすめ」で。
だって楽しかったんだもん。

※こういう評価をしてしまえるのは「良家の子女の嗜み」というヤツですかね。(←ちがう?)。

柴田宣史 | 簡易評価: おすすめ | 見た日: 2009年10月17日 | 見た回数: 1回

先に映画を見る者には、後から映画を見る者に、先入観を与えない義務がある。
とくに後から見る者の期待を高めるような発言については、極力これを慎むべし

民明書房刊『銀幕にかけた青春』より

いやいや、これはおすすめですよ!
なに? 「期待を高めちゃったじゃないか、責任をとれ」?
チッチッチ……バカをいっちゃいけない。

だってそこのあなた。「怪人20面相──日本が生んだダークヒーロー」ですよ。華麗な犯罪者を追う明智小五郎。BD のバッヂが光る少年探偵団。

ちゃんと読んだことがない僕でも、おお、そのテーマでやってくれるなら見てみたいっていう要素じゃないですか。
だから僕が何を言ったところで、これらのキーワードに引っかかる人にとっては、やっぱりいやが上にも期待が高まっちゃう訳ですよ。

で、そういういうマインドセットで画面に対峙する。こちとら徹夜明けで、しかももう夜の2時。

「1949年 第二次世界大戦が起こらなかった帝都。極端な格差社会で、華族、富裕層をターゲットに華麗な犯罪者 K-20 (k-twenty)。すなわちその名も『怪人20面相』!」ちゅな出だしだけでヒャッホーですよ。

……と、今までの流れだったら、こうやってほめ殺しで続きそうでしょ?

でも、今回はちがうのです。

なんとこの作品は、かの残念殿堂入り予定の「デビルマン」要素も兼ね備えている「おすすめ」なのです。

まずプロット/目のつけどころは上述の通り、かっこいいので言うことはありません。

でも、仲村トオルさんもたいがいですが、主役格の二人、金城武さんと松たか子さん。あんまりにも演技らしい演技で、劇中劇の大根役者を完璧に演ずる名優のようです。しかしかといって、「デビルマン」の彼らのように、ゴボウ役者ではない。不思議なんですよね。美男美女だからかな? たしかに画面が締まる……というか、この二人が出てくると、みてられるし、なんだかそもそも憎めない大根味なんです。でも堪え難く大根味で、たびたびみているこっちがズッコケてしまう。

でもって演出。これもある意味「非道い」。
だってね、「ALWAYS 三丁目の夕日」のスタッフはどんだけスタジオジブリが好きなんだって話ですよ。ジブリ作品を見込んでいたら、ヤバいくらい「ジブリ・オマージュ」でいっぱいです。そりゃ華族のお姫さまと、ドロボウさんだったら、ラストシーンはアレでしょうよ。でも、ソレ、商業作品でやっちゃう? ちゅなもんですわ。

つぎ、ストーリー。これは、あえて隠しますが、30代くらいの閲覧層で、この展開が意外な人はひとりもいないんじゃないですかね。だから陳腐といえば陳腐なんですが、手堅いといえば手堅いので、これはまあ、可もなし不可もなし。

しかし、僕としては突出しているように感じたのであえて演出と分けますが、デザインとアクションはかなりよかったんです。

地図に一本の線を引き、これをたどって進む。これが最短の逃走経路であり、すなわち侵入経路である(大意引用)

ということで、「ヤマカシ」ばりの移動をするんですよ。ここはみていて素直に心躍ります。相対する怪人20面相のコスチューム類も小道具もかっこうよく、そういうアクションを引き立てる構図もけっこういいところがある、ときている。

残念映画愛好家の石田先生のお言葉では、

演技力。映像。演出。
“三つの力が一つになり、超一流の駄作が生まれるのだ!”

とのことで、いろんな部分で、上述の通りけちょんけちょんなんですが、でもね、見終わった後残った感想は「楽しかったー!」だったんです。

だったら、やっぱり本来の意味でも「おすすめ」ですよね? 石田先生。

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