見ていて「容疑者Xの献身」を思い出しました。そりゃそうだ。そもそも原作おんなじ人が書いてるし。最終的なゴールもハッピーエンドかといわれると、うーん。ちょっと影があったり・・・その辺も似てる。ま、作風でしょう。

が、映画作品としては正直「容疑者Xの献身」の方が面白かった印象です。なんでだろ？あちらは恋愛物。コチラは親子愛とかだったら明らかにこっちに軍配が上がりそうなのに。さらには父と子の関係なんて「ビッグフィッシュ」を筆頭に涙ボロンボロンパターンのはず。父親に はかなわんなぁ。という共通の思いがあって、よりグッときちゃうだろうと 思ってたんですが・・・。

とこらが今作はというと、同じテーマでもどっちかというと父親目線で見てました。 あれ？おかしいな。いや。今作も偉大な父親とそれに気づく息子。みたいな面は あるんですが、それ以上に息子のことをわかってやりたいのにうまく接すること ができなかったり、どこか壁みたいなものを感じちゃったり。息子の思いとか考 えとかがわからなかったり。 そんな面白味にゃかけるかもしれないけど誠実で素敵な父親を中井貴一がやって くれてるんですが、これがいいんだまた。 もうちょっと娘がおっきくなったとき、「お父さんはわかってない」と言われた り、子供の考えてることがわかんなくなったりするのかもしれない(可能性大だな) んですが、こんな風になれたらなぁ。とか思っちゃう。無理かなー。

主人公の阿部寛だっていろんな意味でいいキャラだし、ガッキーだって「恋空」に続き未婚の母になりそう。というオマケ付き。事件と事故との絡みなんかも悪くない。

ただ、最大の敗因ポイントは、多分、推理が地道で考えさせないっていうところか？容疑者Xの方は、それこそ数学学者が頭を使って完全犯罪を成し遂げたのに対して、こちらは事故と事故とその他要因によって引き起こされたに過ぎず、そのへんの緻密な犯罪から比べるとちと弱いかなぁ。複雑に絡み合った難事件をよく解決した。とは思うんですが、どちらかと言うと、丁寧な捜査で真実を明るみに出た印象が強いかな。

作品としては面白かったですよ。気分がのってりゃ「おすすめ」でもいいかな。とか思っちゃうくらいに。ただ、比較してしまうとどうしてもそのへんの物足りなさを感じちゃうんだなぁ。改めて「容疑者Xの献身」みたら違うかもしれませんけどね。結構美化されてるとこあるし。