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フラットライナーズ FLATLINERS - Some line shouldn't be crossed
画像表示切り替え監督: | ジョエル・シュマッカー |
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出演: | ジュリア・ロバーツ、ケビン・ベーコン、キーファー・サザーランド、ウィリアム・ボールドウィン、オリヴァー・プラット |
時間: | 114分 |
公開: | 1991年 |
キャッチコピー: 心臓停止20秒、80秒、4分25秒…何が起きたんだ! あまりにも危険な賭けに挑む5人の医学生。 | |
ジャンル: サスペンス |
コメント一覧
柴田宣史 | 簡易評価: おすすめ | 見た日: 2010年10月02日 | 見た回数: 1回
「おくさんとケビン・ベーコンを見ようキャンペーン」で、見ました。
つまりその程度の選出理由なので、どんな映画かは全然知らなかったのです。
以下、あえて曲解しながら、触れていきたいと思います。
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大筋は、「臨死体験に興味を持ってしまった医学部学生たちが、いたずらに心停止と蘇生をするが、蘇生後には、恐ろしい幻に苦しめられるようになる。」というものです。
この「恐ろしい幻」の演出はけっこうホラーで、それなりに不気味なのですが、それはさておき、学生たちは臨死体験に於いて、いわば人生の後悔と向き合うビジョンを見ます。幼少期にいじめに加担をした経験、浮気等々、きちんと片を付けてこなかったことを、今際の際に見ます。「恐ろしい幻」は、このビジョンの反復と変奏曲です。
臨死体験をした主人公たちは、いやが上にも未解決の宿題と向き合い、命をかけて、この宿題を片付けなければならない……、という話なのですが、ここでごく個人的なことを書きますが、僕は、自分の修士論文を思い出しながら見ていました。
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自分の修士論文から、うろ覚えの引用ですが、
というような一節がありました。じつは、この部分は当時の副査であった中尾ハジメが、「つまり、おまえはこういうことを言いたいのだろ?」と言って、加筆した箇所であり、あとで噛み締めてみると、なるほど、と思う言葉であったのですが、「解決できていない経験は、その解釈を待ち望んでいる」というのは、供養をしていない幽霊を成仏させる拝み屋の仕事のようなものを彷彿とさせます。
ユズルさんとインドに行ったときや、彼のすすめでいくつかのサイコセラピーをうけたときにも、「なんてつらいのだろう」という局面があったけど、修士論文を書いているときにも、あきらかに一つの山があったことを覚えている。そのつらい山こそは、死の山だったのではないだろうか。
この映画では、直接的表現で臨死体験を描いてしまうけど、自分の未解決の宿題と向き合うということは、今の自分は「死ななければならない」ということとの符合を感じるのだ。
やむことの無い恐ろしい幻に対して、ケビン・ベーコン扮するデイビッドは、幻から逃げるのでなく向き合うことで解決できる、ということ発見します。
エンターテイメントの映画なので、僕がここで曲解したようなメッセージを読み取るのは、正直邪道だとは思うのですが、僕としては、見事に文脈の一体感があったので、非常に満足でした。