東京ゴッドファーザーズ
画像表示切り替え監督: | 今敏 |
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出演: | 江守徹、梅垣義明、岡本綾、こおろぎさとみ |
時間: | 90分 |
公開: | 2003年 |
キャッチコピー: 私の「名づけ親(ゴッドファーザー)」は 3人のホームレスでした――。 クリスマスの夜、一人の捨て子をめぐって東京に《奇跡》が起こる。 | |
ジャンル: アニメ(日本)、ファンタジー |
コメント一覧
柴田宣史 | 簡易評価: なかなか | 見た日: 2012年08月05日 | 見た回数: 1回
でべ | 簡易評価: おすすめ | 見た日: 2010年09月26日 | 見た回数: 2回
ありったけの奇跡のものがたり。
軽薄な作り話には奇跡があふれていて辟易する。アニメやドラマにあるような都合の良い出来事は現実には起こらない。ばったり出会う、ぎりぎり間に合う、やられても立ち上がる。静止画のスクロールでごまかされた背景に柴田さんがうんざりするように、わたしはそんな「ありえない出来事」に興ざめしてしまう。「雲のむこう、約束の場所」に書いたようにそれらの奇跡を信じていた過去の自分を覚えているせいで恨みがあるのかもしれない。
でもこの作品は思いつく限りの偶然で強運な都合の良い出来事を詰め込めるだけ詰め込んだファンタジー。
意識的にバンバン打ち込まれてくる奇跡がだんだん心地よく、やっぱりありえないラストシーンも「まあいいよ」と心安らかに許せてしまう。
監督はわたしの人生で最悪な2本の映画「スクールデイズ」と「パーフェクトブルー」の片方を取った今敏さん。この2本は今のところ映画部にコメントはないけど(2010年9月25日現在)どちらも「判断保留」作品。こんなに気持ちの悪い思いをさせて、人を怖がらせておいて「残念」はない。気持ちの動かされ方は、並みのおすすめ作品なんて軽く上回る。
「東京ゴッドファーザーズ」にも「パーフェクトブルー」を撮った人の存在を感じられる気持ち悪いシーンが少し、ある。でもそれも全てひっくるめて、そのシーンがあってこそ、この映画をただの都合のいい感動ストーリーじゃなくしてるんだなあ、と思う。
今敏さんといえば「千年女優」や「パプリカ」が代表作のように言われる。印象的で独特な動きの絵づくりで記憶には残っているけど、どちらも冗長で眠い。「千年女優」が映画賛歌だと知ってはいるけど、素地がないのでわからない。分からなければ茫洋としたつまらない映画になってしまう。
でも今作を見直して、ああ、いいものを作る人を亡くしたのだと悟った。どちらかといえば今作が異作、音楽もいつものあの人じゃない。でもホームレスのクリスマス映画でエンディングがムーンライダーズの第九だったらほらいい気分でしょ?
長い文章を書いたけど、いい映画にコメントをつけるのは難しい。だって見終わったときの気分はひと言「面白かった!!」と言えば済むんだから。
末娘が風邪で入院中に、長女長男と視聴。
長男は後に母ともう一回みたらしいけど、泥棒のお母さんが心底怖いそうで、逃げ回るのだそうです。
長女は赤ちゃんのアテレコの「帰りたい」がずいぶん気に入った様子。
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三人の賢者にかけたコッテコテのクリスマスの奇跡もの。至れり尽くせりでみんなハピーにしてしまうような話はみてて気持ちいいですね。
アニメ独特の不快な演出も少なく、全般にきわめて好印象です。
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大学生くらいまでは、シンガーソングライターでなければ、その歌の価値は減ずると思っていました。
でも、もうちょっと大人になって思うのは、専業歌手は、ときにシンガーソングライターが歌う歌以上に、歌の意味を引き出すことがあるのだと思うようになりました。
だから、以前ほどシンガーソングライター至上主義ではないのですが、でも、本作品、なにからなにまでこの監督さん(今氏)がやってるのですね。ひさしぶりに徹底された「何か」を見せてもらったような気がします。