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ウォルト・ディズニーの約束 Saving Mr. Banks
画像表示切り替え監督: | ジョン・リー・ハンコック |
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出演: | トム・ハンクス、エマ・トンプソン、コリン・ファレル、ポール・ジアマッティ、ジェイソン・シュワルツマン |
時間: | 126分 |
公開: | 2014年 |
キャッチコピー: 夢と魔法だけでは 作れない映画がある――。 | |
ジャンル: 伝記、ドラマ |
コメント一覧
柴田宣史 | 簡易評価: おすすめ | 見た日: 2015年11月13日 | 見た回数: 1回
でべ | 簡易評価: おすすめ | 見た日: | 見た回数: 1回
メアリ・ポピンズ、もちろん名前は知っているけど、映画も見てないし、原作も読んでいない。知っているのは「チムチムニー、チムチムニー、チムチム・チェリー」のあの歌くらいか。
知っていて見たほうが面白いかもとは思いつつ、結局なんの予備知識もないまま見てしまった。
画面に現れるタイトルは「Saving Mr. Banks」。わたしにはその意味がわからない。でも物語が進むにつれて、意味するところが明らかになってくる。意味がわかると、横暴で気難し屋のトラヴァース夫人の内側のひとつの叫びが見えてくる。
心を縛っているつらいことは、広めて薄めてしまうのが一番いい、と言ったのは誰だったか、ディズニーとぶつかってトラヴァース夫人に起こったことは、まさにその言葉通りのこと。
エマ・トンプソンも、トム・ハンクスもどちらもかわいくて愛嬌のある素敵な役者さんなので、ふたりが並んでいる、それだけでもちょっとわくわくする。コミカルなシーンは安心して笑っていいし、シリアスなシーンは引き締まって心地いい。感動や怒りや笑いをわかりやすくあおる映画も面白いけど、激しく感情を揺さぶられなくてもいいんだと思える心地良さがあって。
頑固なトラヴァース夫人が、ふとした瞬間に、自分と世界が上手く馴染んでない、さみしそうな表情をするんだけど、そのときの諦め切って急に年老いたようにみえるのがなんとも切ない。
この直後に「英国王のスピーチ」を見て、ちょっと似た印象を覚えました。
でべちゃんとも話したのだけど、原題が良いのですよ。"Saving Mr. Banks"。
でも、この邦題はこれはこれでいいでしょう。そんなに責める気は起こりません。
「メリー・ポピンズ」は、大好きというわけではないのだけど、それでもそれなりの回数を見ていて、歌はほとんど知っているのです。で、昔からこの映画には、ちょっとの引っ掛かりどころがあって、それはメリー・ポピンズが、ちょっと怖いというか厳しいんです。でも、本作の読み解きでびっくりするくらい腑に落ちてしまいました。どんでん返しが、ミソな映画ではないのですが、以下、あえてネタバレ隠しで。
ここから先はお話の核心に関わる記述があります。このリンクで読み飛ばせます。あるいは次の見出しにスキップしてください。
物語の主たる軸として親子の関係が意味を持つことは多いのですが、トラバース夫人の父が、どうしようもない人物なんですね。
その父が苦手意識を持っている奥さんの姉(つまり義理姉)がいるのですが、端的に言えば、その義理姉がメリー・ポピンズで、父がバンクス氏という構造です。
作中、「メリー・ポピンズとバンクス氏は、わたしの家族なの!」とトラバース夫人が言いますが、まさに言葉通り、彼女の家族の物語なのです(というか、そのように見えるように映画では語られる)。
トラバース夫人は、脚本家やディズニーを「話の本質がわかっていない」となじりますが、最後に、ディズニーが「メリー・ポピンズは子供達のために来たのではない。あなたのお父さん、トラバース・ゴフを助けるために来たのでしょう」と読み解くことで、メリー・ポピンズの厳しさのようなものの意味が立ち上がってくるような気がするのです。
隠しテキストはここまでです。
映画としても、よい演出があって、ミュージカルではないのだけど、トラバース・ゴフのスピーチとミュージカルを被せているところとか、義理姉が登場するところとかは、もとの映画を知っていたら、うれしくって、快哉ものです。
とにかくいけ好かない人物を貫いているのだけれど、ほとんど最後のディスニーの「泣かないで、大丈夫ですよ」という言葉に、「違うわ、あんまりにもペンギンがひどくって」というあたりまで来ると、もう十分に愛せてしまう。
あんまり映画が良かったので、痛飲してしまいましたよ。柴田としては、まちがいなくおすすめで。