ショート・サーキット Short Circuit

画像表示切り替え

Amazon で ショート・サーキット を買う

監督:ジョン・バダム
出演:アリー・シーディ、スティーヴ・グッテンバーグ
時間:98分
公開:1986年
ジャンル:
SF

コメント一覧

尾内丞二 | 簡易評価: おすすめ | 見た日: 2010年02月15日 | 見た回数: とてもたくさん

僕は物心ついた頃から絵を描くのが好きだった。
運動神経が悪く、人づきあいも苦手だった僕にとって『絵を描くこと』はある種の処世術のようなものだったのだ。

たとえ転校したばかりでも、担任の先生の似顔絵を描けば誰かがすぐに話しかけてくれる。

「それ○○先生?すごい似てるね!」

僕が似顔絵を描く時、誰かがいつもそうやって称賛の言葉を掛けてくれた。

…しかし僕は、絵を褒められて嬉しかった事はあまりない。
僕が絵を描く目的は『絵を褒めてもらうため』ではなく『気軽に話しかけてもらうため』だったからだ。

幼い僕にとって『ヒトの顔を描くこと』は言葉を使うのと同じくらい自然で、“何でもない”作業だったのだ。

やがてそんな幼いジョージも成長し、中学に入る頃には本格的に『絵を描くこと』を学び始める。
“漫画の描き方”のような本も何冊読んだか判らない。

みなさんはそういう本を読んだことがあるだろうか?
ないのであれば一度、書店のHow toコーナーに行って手にとってみて欲しい。“表情の描き方”という項目が最初の方に出てくるハズだ。

その本ではこんな風にチュートリアルを進めるだろう。
「顔の輪郭を正円(○)で描き、点と線だけで眉・目・鼻・口のパーツを描いてみよう。」
つまりこれらのパーツをほんの少し傾けたり歪めたりするだけで、プリミティブ・フェイスが笑ったり怒ったり悲しんだりするという寸法だ。

…幼い頃からヒトの顔を描き続けてきた僕にとって、そんな事は『トイレ紙の使い方』の解説と少しも変わらない。

もう少し言えば、少なくとも日本人はもともと表情豊かな人種ではなく、欧米人のように彫りも深くないから感情の殆どは口の形で表現できてしまう。

…ちなみに、日本人以外にも口の形だけで感情を表現する動物がいる。チンパンジーだ。我々日本人の感情表現レベルはチンパンジーとあまり変わらないのである。

したがって、人間の表情を出す為に本当に大事なのは口であり、眉毛はそれほど重要ではない。別に無くてもいい。

そう思っていた。

この“ショート・サーキット”を観るまでは。

この映画に登場する軍事ロボット『SAINTシリーズ No.5』にも“顔”があるのだが、彼の顔で制御可能な可動部分は『眉(遮光板)』しかない。

…つまりナンバー・5は眉毛だけで感情を表現することが出来るのだ!

この映画を観たことがあるヒトならば判ってもらえると思うが、この軍事ロボットは「喜び」「驚き」「怒り」「悲しみ」といった基本的な感情のみならず、例えば「調子に乗っている」のような“心情”すらも『表情に出す』のである。眉だけで。

WALL・E」も似たようなデザインのロボットだが、恐らくピクサー社内でウォーリーのデザインを考える過程で「ナンバー・5とカブらないようにせよ」という厳しいお達しがあったに違いない。…結果的に、ウォーリーの顔面可動部は両目の接続部の一か所に限定され、よりシンプルなデザインに仕上がっている。

…しかし可動部が少ないからといって、ウォーリーの方が優れたデザインというワケではない。彼は可動箇所を減らす過程で「怒り」という感情をも犠牲にしているからである。
ウォーリーは穏やかな癒し系お掃除ロボットだから怒ったりしないのではない。“構造上”怒れないのだ。

そこへいくと我らがナンバー・5は、人間が抱く感情の全てとそのレベルをも眉だけで表現することができる。

…とまあ、なんだかナンバー・5の表情にばかり執着しているようだが、なにもこの映画で注目すべきは彼の眉だけではない。

「心を持ってしまった兵器」と「欠陥を抱えた人間たち」との心温まる交流や、どっからどう見てもインド人なのに『生まれはカリフォルニアさ。両親はピッツバーグの出だけどね。』と語る脇役のベンジャミン・ジャベリからも目が離せない。我を忘れてうっかり『ナマステ』とか言うし。

続編では彼が主役を務めることになります。

3DCGや撮影技術が進歩し続ける昨今ではありますが、こういったロー・テク映画の中にも今の子供たちに観て欲しい名作がまだまだ隠れています。

…2回も観たのにロボットの速読術にしか注目せず、挙句「なかなか」と割り切る柴田くんはまだまだ修行が足りません。

柴田宣史 | 簡易評価: おすすめ | 見た日: 2010年02月15日 | 見た回数: たくさん

はいはい、悪うございましたね。
あんまりいじめるとグレるよオレ?

挑戦されたのでいそいそと久しぶりに見ました。

いくつか言い訳から始めますが、2回というのは正確ではありませんでした。この映画を足したのが2008年8月で、そのころこの映画部のシステムは複数回数の閲覧にきちんと対応していませんでした。なので、ここらへんで追加したやつの回数はいい加減なものが多いです

評価に関しては、今回の再視聴で一応上方修正します。

ただ、当時、さっと足して、「なかなか」にしたときに考えたことを覚えています。本作、「ショート・サーキット」は86年の映画です。僕は12歳の中学生でした。

当時の僕の最高峰映画は「ナビゲイター」であり「スペースキャンプ」であり、「エクスプローラーズ」でした。むかしからそういう映画が好きだったのです(あとじつは「トロル」という映画も好きだったのですが、この映画、もうどこを探しても見つからないのです。これも86年の映画でallcinemaくらいでしか後を追えない……)。あ、もちろん「グーニーズ」や「バック・トゥ・ザ・フューチャー」は言うにおよばずですよ。

ナビゲイター」や「エクスプローラーズ」などは文字通りVHSはすり切れるほど見ました。

そういう映画への愛を表現するために、本作を相対的に一段階下げたのですが、そののち、映画部での評価については、相対評価無視主義に転向したので、今回も上方修正については苦しくはありません。

また、相対評価はしない、といいつつもですが、昨今の作品にくらべて遥かにおもしろいと思う僕自身がいるのも否めません。

ちなみに今回見直してみて、驚くほど内容や音楽を覚えていた自分自身にもびっくりしましたが、ナンバー5のデザインはシド・ミードだったんですね。

それとやっぱり今回もクロスビー博士(スティーヴ・グッテンバーグ)のチューリングテストのラストの意味がよく分かりませんでした……。ラビは強欲だから、落ちとして妥当でないってこと?

あと、表情について揚げ足を取っておきますが、ナンバー5が動かせるのはマユゲだけじゃないですよ。目の絞りと、レンズそのものも動かします。これは「WALL・E」でもこだわった部分だそうですが、目が飛び出ることについては、見直す前から覚えてたよーだ。あっかんべー :-P

でも、よくベンジャミンの「ナマステ」や出身地までおぼえてたね。それは流石ですな。

* * *

「イーンプット」といいながら、ページを繰るジョニー5が、子供心にうらやましかったのは、もう既にその頃から効率至上主義に毒されていたからでしょうか。ピクサーの次回作、「WALL・E」の最初の予告編をみて、思わず「きっと秘められた秘密というのは、元兵器だろう」と言った尾内夫妻は、二人して、きっとこの作品が愛せるはず。

リンク