13ゴースト(2001) Thir13en Ghosts

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監督:スティーブ・ベック
出演:トニー・シャローブ、エンベス・デイビッツ、マシュー・リラード、シャノン・エリザベス
時間:91分
公開:2001年
ジャンル:
ホラーリメイク

コメント一覧

柴田宣史 | 簡易評価: おすすめ | 見た日: 2010年08月29日 | 見た回数: 3回

父:十月ぁ、怖い映画見ようよ
娘:いやや。
父:まあ、そういわずにさー、見ようや。
娘:んー、終わったら自転車の練習に行くんだったら見る

というわけで、ホラー好きの家にうまれてしまったばっかりに、5歳なのにホラーをたくさん見ているのですが、本作、見ている最中から「ぎゃー」「こわーい」「いややー」の連続で、父としてはうれしい限り。

とくに《怒りの王女》が、風呂場に出てくる下りなどは、僕の後ろに隠れようとする娘を「見ないとよけいに怖いぞー」と、画面の前に置き、ところによっては巻き戻しなども駆使して見続けました。

巻き戻したりしていると、娘もだんだんと怖いと思い込んでいる以上には怖くないことに気づきます。そらそうです。ほんとは怖くなんかないのです。

* * *

よく「ホラー好きは、この辺りの感覚が麻痺していて、正常に機能しないのだ」という人がいますが、そういう人にこそ本作は非常におすすめです。12体のゴーストのデザインが非常に格好いいのです。すべてのゴーストのデザインに端的にゴーストのストーリーが包含されていて、それらのデザインがいわばある種歪んだ人生を誇張したものであることがわかるのです。このデザインのかっこうよさに気がつくと、本作の味わいはぐっと変化します。

でも、他方、正直「本当は怖くなんかないのです」と言い切るのは、ちょっと言い過ぎなのも認めます。「怖さ」は非常に主観的なものなので、「何に対して恐怖を感じるか」ということを一般化することはできないからです。

しかし、恐怖のみならず、真の感情──あるいは深い感動と言い換えてもいいのですが、心の琴線に触れるということは、自己実現の瞬間でもあります。表層的な感動や感情の連続の中で、強く心を動かされるとき、耳栓をしてくぐもって聞こえていたオーケストラが、とたんにその耳栓がはじけ飛び、心に響くような瞬間があるのです。その意味で「恐怖」は、もっとも人間の感情を動かしやすい動機であることは、もしかして仮説として成立するのではないでしょうか(いや、その自己実現的経験を増やすことの意義はさておきですが)。

また、僕の持論である「映画は観客によって見られることで完成させられる」のロジックですが、ホラー映画みたいなものって、怖い分、観客も苦労して作品を完成させているという側面があります。苦労した分、作品への愛情が増すのかなと、でべちゃんの「ロボコップ」のレビューを見て思いました。

* * *

さておき、徐々に平気になってくるとそれなりにお話も楽しむことができるようになってきて、「お母さん優しいなあ」、「ニセ電気屋、いいやつやなあ」とか、「おじさんは悪人やなあ」とか話がかみ合ってきます。

話は展開して、「この『眼鏡をかけるとお化けが見える』っての、とってもいいから、こんど丞二と作る映画でやりたい」とか言い出したりもしちゃう。

で、お約束の「作っているところ(メイキング)を見よう」で答え合わせをしてシメ。

* * *

そのあと、自転車の練習に行き、みごと補助輪なしでの自力走行にも成功。
帰り道、ふたりでニコニコと今日見た映画の話をしながら帰宅。

娘:なんで《悲しむ母》は、最後、火傷が治って奇麗になってたの?
父:だから《悲しむ妻》でしょ?
娘:だって、のぐちは妻で母だから、妻も母も一緒でしょ?
父:……。

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