TIME/タイム In time

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Amazon で TIME/タイム を買う

監督:アンドリュー・ニコル
出演:ジャスティン・ティンバーレイク、アマンダ・セイフライド、アレックス・ペティファー、キリアン・マーフィ、オリヴィア・ワイルド
時間:109分
公開:2011年
ジャンル:
SF

コメント一覧

でべ | 簡易評価: いまいち | 見た日: | 見た回数: 1回

プリデスティネーション」が面白かったので、SFの中でもとくに「時間もの」にアンテナが立っていたのか、目に入ったその名も「タイム」。タイムトラベルものではないけど、気分に沿う気がして見てみました。
うう、面白くなりそうな要素は多いのに、イマイチ煮え切らず、欲求不満が募るばかり…。

この世界では人間は25歳以上年はとりません。
いつまでも体は若いままが故に、自然死はせず、時間が特別な価値を持っています。人はみな、左腕にデジタルタイマーが表示されていて、それが「人生の残り時間」であり「貯金残高」として機能します。働けば、時間がもらえる、消費すれば、時間を取られる。表示が0になればあっさり死にます。
世界は貧困層と富裕層にはっきり分かれ、貧困層は工場労働で少ない賃金を得て、残高数日の、まさにその日暮らしをしています。税金は高い、コーヒーの値段は上がる、残高が増えるとギャングに狙われる。

当然、貧困層の青年が主人公です。
かれはひょんなことから100年を超える時間を手に入れました。

ね、悪くなさそうでしょ。

とにかく主人公が行き当たりばったりなんですよ。時間を手に入れた彼は、「ヤツらに目にもの見せてくれる」と意気込んでアッパーサイドに乗り込んでいくんですが、何をするつもりなのか、目的を教えてくれない。最終的には結果オーライなんですが、ほんとうにそれで良かったのかと。ちょっと小器用な、考えなしの若造なので、悲壮感がないんです。物語はほとんど「エリジウム」と同じ構造ですが、マット・デイモンの緊迫感たるや。

それに全員25歳である設定を邪魔に感じる。いや、設定上、歳をとらない→だから時間が価値を持つ、という思いつきの楽しさはわからんではないのですが、自分も母親も老人もみんな同じ見栄えなので、物語に重要でない余計な頭を使う必要があるんですね。実は何歳だ、とかいちいち説明してくれるんですが、でも、それがあとあと重要なファクターになるわけでもなく、ただ、本来なら「見たらわかること」を覚えておくのに脳みそを使わなくてはならないわけで。あと、普段あんまり思ったことはないのですが、若造ばかりだとどうしても画面が薄っぺらくなっちゃう気がします。年齢の幅を出せない学生劇団のお芝居みたいだなあと。バランスを崩す存在がいたり(なぜか年寄りがいてなぜ存在しているのか不明、とか)、ぱっと見で年齢が分からないからこそのトリックがあったりとかすると良かったのですが、そういう工夫も特になくて残念。

あとは金銭感覚がわかりづらくて。そんなのさらっと流せばいいのかもしれませんが、職場のコーヒーが一杯4分だ、といわれたら、じゃあ1分50円くらいかなあ、とか自分の生活に引き寄せて考えちゃうでしょ。でも時間て60進法で桁が上がるじゃないですか。じゃあ1年ていくらくらいなの?どのくらいすごいことなの?ということがピンとこないのです。あとは貧困層のみんなが結構残高3日とかで生きてるんですね。わたしたちの世界なら、いくらその日暮らしといっても、お金がなくなったら死ぬわけじゃない。残高3日で生きている緊張感て凄そうなのにみんな割と普通に生きてる。自分の人生を削って、ご飯を食べたり、物を買う、という行為は面白いメタファだなと思うんだけど、これも年齢同様、物語を進める上で足かせになってるような。だいたい世界が持っている人間の総時間は誰が管理しているのかしら。貧困層から吸い上げた時間で裕福層が成り立っているなら、裕福層はもっと貧困層を「死なない程度に生かしておく」措置を取っているのではないかしら、などなど、いろいろ考えてしまう。

この、設定は面白そうなのに、見終わった後の物足らない感は、キルスティン・ダンストの出てた「アップサイドダウン 重力の恋人」とよく似てる。あらすじは魅力的で安っぽさもないのに、そのせいで余計につまらなさを感じてしまう。
ちょっと損してる映画でした。

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