この映画ね、いろんなDVDに予告編が入ってたんですよ。でも、その予告編が、なんだかつまらなさそうなんですわい。そのくせ予告編は山のように見るから、いつか見なきゃと思ってみたんですが、いやあ、やっぱり「つまらなさそう」は、ベスト・スパイスのひとつですね。たいへんたのしかったです。

＊　＊　＊

同じ時間軸をいろんな角度から描くんですが、似たようなやつだと、「ラン・ローラ・ラン」や「バタフライ・エフェクト」だと、いろんなバリエーションを繰り返し見せてくれる。そういうのに比べると、「スネークアイズ」や「メメント」に近いのかな。おんなじ時間軸を深く掘り下げていくことで話を完成させちゃうのは、けっこう見事。

どの話も、エピソードごとに意外な事実が分かるとかそういう訳じゃないんだけど、きもちよくピースがはまっていくジグソーパズルみたいになっている。また、話の引き方がおもしろくって、全部ドラマの毎回の終了時みたいに、気をもたせるところで引っ張っていく。

なんだろうな。「フォーン・ブース」を見たときに、うまいなあ、と思ったのと似ている。そんなに意外性や奇をてらった話ではないのだけど、ただ完成していくのが気持ちよい、という感じ。

安定した役者陣だし、画面もスペインの赤や黄色がきれいな町並みも大変気持ちよい。スカっと楽しみました。なんで予告編はあんなにつまらなさそうなのかなあ。

余談：
デニス・クエイドって、ちょっとハリスン・フォードと似てますよね。