恋愛小説家 AS GOOD AS IT GETS

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監督:ジェームズ・L・ブルックス
出演:ジャック・ニコルソン、ヘレン・ハント、グレッグ・キニア、キューバ・グッディング・Jr、スキート・ウールリッチ、ハロルド・ライミス、ローレンス・カスダン
時間:138分
公開:1997年
ジャンル:
コメディ恋愛ラブコメアカデミー賞

コメント一覧

柴田宣史 | 簡易評価: おすすめ | 見た日: 2012年09月15日 | 見た回数: たくさん

僕の母が無類の映画好きだったために、僕は小さい頃からテレビより映画を見ていた。けれども僕の友達は、そんなに映画は見ない。だから友達と映画の話をするなんてことは少なかった。

だから大学で丞二と出会ったときには驚いた。こんな人がいるのか、と(ちなみに少し後に石田さんと出会ったときにもたいへん驚きました。石田さんとの昔のメールを読み返すとお互い映画ネタばっかり。が、それはまた別のときに)。

で、丞二と遊ぶ訳です。深夜の大学のクラブボックスで「レザボア・ドッグス」のマイケル・マドセンの物まねをしたり、「映画を作ろう!」といって脚本もどきをこね回したり。

* * *

そういう脚本もどきの中で、本作をネタもとにしたものがありました。タイトルは「lost and found(遺失物取扱所)」。誰かが落とした財布をもとに、ふたりの男が落とし主を推理する、という話でした。このときには北川もイッチョカミしてくれてましたね。

財布の中には、幾ばくかのお金やカード類、レシートなどが入っているのですが、そのうちの一つが本作「恋愛小説家」の映画チケットという設定でした。

チケットの裏面には映画の台詞が書いてある。その台詞が、丞二のコメントでも言及されている You make me wanna be a better man でした。

何となく懐かしいなあ、と。

* * *

better man になりたい男はジャック・ニコルソン。彼が変わりたいと思うようになったきっかけはヘレン・ハント。「恋愛適齢期」のダイアン・キートンもいいけど、どっちのジャック・ニコルソンも近所にいたらこれは大変だなあといういけ好かない人物。だからこの台詞が活きてくるんですね。

そうそう、久しぶりに見たらハロルド・ライミスが太っててびっくりでした。

* * *

まあ、映画や役者については、あんまり言及しなくてもいいでしょう。よいラブコメです。今回は、丞二が英語ネタなので、僕も英語ネタでいこうと思います。

とりあえず二つ。一つはタイトルですね。原題は As Good as It Gets。最初は正直意味が分かりませんでした。「それが得たものと同じくらいよい」? なんじゃそら、なんですが、このまま成句として辞書に載っているのですね。

(状況境遇などが)最高で, 言うことなしで

だそうです。うーん、難しい。劇中でもちょろっとこの台詞が出てくるのですが、そのときには、「(これからも)ろくなことはないぞ!」というように使われます。「最高で」といい部分が、「今くらいが関の山」みたいなニュアンスになっているのですね。不思議なダブルミーニングだな、と思います。

もう一つはグレッグ・キニアがジャック・ニコルソンに向かって言う台詞。

Melvin, do you know where you're lucky? You know who you want.

僕はいい台詞だと思うのだけど、As Good as It Gets - Wikiquoteには載ってなかった(こんなサイトがあるのも知らなかったけど)。載ってなかったので足しておいた :-)

* * *

冒頭に書いた通り、うちはレンタルビデオの常連だったのですが、断然字幕派でした。当時はVHSだったので、字幕と吹き替えのテープは別々で、字幕派と吹き替え派の戦いは今より熾烈だったと思います。まちがって吹き替え版を借りてきたときには、見ずに返したくらいです。

最近は、子どもと映画を見るようになり、吹き替え版を見る機会も増えました。

ようやく双方の派閥の、それぞれ言い分がわかってきたような気がします。

尾内丞二 | 簡易評価: おすすめ | 見た日: 2010年09月09日 | 見た回数: とてもたくさん

映画ファンの中には“字幕派”と“吹き替え派”の派閥があり、それぞれの派閥の言い分も千差万別。

劇中のセリフに対して字幕として表示可能な文字数は限られているから、字幕だとセリフを完璧に網羅できないし、吹き替えで観れば概ね正確にセリフをトレースできるものの、役者本人の声を聞くことができないし、画面に集中することもできない。

…などという論争を始めたところで、英語が理解できればいいだけの話なので結局はどちらの派閥も“負け組”なのだが、そもそも文章によっては英語を正確に和訳することはできないので、いつか“勝ち組”になりたいという志の高い人には是非とも字幕で映画を観ることをお勧めしたい。

今回の映画「恋愛小説家」にも正確に和訳することができない一節がある。
脅迫神経症の主人公が意中の女性に“大嫌いだった薬を飲み始めた理由”を語り始めるパートである。

彼は言う。
『You make me wanna be a better man.』

直訳すると
『キミが僕をマシな人間になりたいと思うようにさせた。』

なのだが、日本語にした途端になんとも間抜けな響きになってしまう。

もう少しマトモな口語訳にすると
『いい人間になりたくなった。…キミがそうさせたんだ。』

みたいになるのだろうが、主人公がこの場で口にするには少々キザ過ぎる言い回しになってしまう。

ちなみに字幕だと
『いい人間になりたくなった。』
だけ。

このセリフは英語でなければ正しく表現することができないのだ。

こういった稀なケースの他にも、そもそも英語のジョークは和訳すると意味不明になる。

例えば「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でジョージがロレインをデートに誘う際に
『You are my destiny.』と言う所を『You are my density.』と言い間違えるシーンがある。

『density』は『密度』なので直訳しても意味不明なのだが、昔のレンタル版VHSではクソ真面目に『君こそ僕の密度だ』と字幕が入っていた。

これを吹き替えで観ると『君は僕の運転』と訳しているので破綻はおきないが、これだとボブ・ゲイルの脚本と関係のないセリフになってしまうし、続くセリフ『君は僕の運命の人だ』という一言もなんだか白々しく感じる。そんなセリフでロレインが口説けるはずがない。

ここは英語を聞いてみよう。

Geroge : You're my density.
Lorraine : What?
George : I mean...
Lorraine : ?

George : You destiny.

カッコイイ…。

一瞬なんの映画をオススメしていたのか忘れてしまいそうになったが、「恋愛小説家」も是非とも英語を聞きながらお楽しみ下さい。

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