マスク THE MASK

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Amazon で マスク を買う

監督:チャールズ・ラッセル
出演:ジム・キャリー、キャメロン・ディアス、ピーター・リーガート、ピーター・グリーン
時間:101分
公開:1995年
ジャンル:
コメディファンタジー

コメント一覧

石田憲司 | 簡易評価: おすすめ | 見た日: 2013年01月11日 | 見た回数: たくさん

今見たら古さを感じちゃって、昔の好印象をそこなっちゃうかな~。という若干の不安感を抱きつつの視聴でしたが、なんのなんの。

いやね、昔はマスクをかぶっていない静の時の印象が薄かったんです。とにかくジム・キャリーがコメディアンとして、はっちゃけて無茶してる印象が強すぎたってのもあるんですが、今回は逆。最近の見た真面目な作品(っていったらちょい語弊がありますが)での再評価でそんなことを思ったのかもしれませんが、カブッてない時の彼もいいですなー。

でも、この作品に関してはやっぱりあの緑の彼のインパクト。アクターズ・スタジオ・インタビューか何かでその時の演技を見たんですよ。緑色じゃなくて素のジム・キャリーがそのままやってくれたのを。それ見て、いや、緑の作るのも大変だったと思うんですが、正直あのマスクなくても充分成り立っちゃったんじゃなかろうか・・・とか思っちゃう出来でした。素敵だなー。

たとえば「ナッティ・プロフェッサー」とか基本的なプロットはおんなじ作品も多いですが、やっぱり面白かったなぁ。お腹いっぱいの食べ過ぎ感はありますが、とっても満足な一本なのだ。

尾内丞二 | 簡易評価: おすすめ | 見た日: 2010年08月11日 | 見た回数: とてもたくさん

この映画の事を思い出すたびに、僕は自分の高校生活も同時に思い出してしまう。

この映画に出会った当時、僕はクラスメイトたちを対象に複数のアダルトビデオをダビングして販売する商売をしていた(違法コピー!ダメ、ぜったい!!)。
新宿西口辺りの中古ビデオ屋で1本100円で20本ほどまとめ買いしたアダルトビデオのタイトルと女優名をリストにし、客にアラカルトで3本選んでもらい、それを一本にまとめた状態で2000円で販売するのだ。
値段の高い安いは別にして、普段からエロスに貪欲でシャイな高校生を相手にするのだ。飛ぶように売れた。

それと時を同じくして、僕が始めて(そして最後に)違法コピーした映画がこの“マスク”だった。

皆さんはコピーガード信号が入ったビデオをダビングするとどうなるかご存じだろうか?

最初は鮮明な画像から始まるが、きれいな画面は3秒ほどしか続かずゆっくりとノイズが乗った映像に変わっていき、もう少しで見えなくなりそうなところからまただんだん画面がキレイになっていき、3秒間の鮮明な映像。これが20秒ほどの周期で繰り返すのだ。(注:1)

では、何故そんな酷い状態になるのが判っててダビングしたのか…?

それは『例えそんな状態であったとしても何度も繰り返し観たかったから』である。
行為自体は違法だったが、犯行動機はあまりに純粋な映画に対する愛情だったのだ。

“マスク”は、思春期真っただ中の僕をそれほどまでに魅了した作品であり、実写合成の魅力を僕に気づかせてくれた最初の映画でもあった。
…というよりも、そもそも“マスク”はコメディ映画で本格的に3DCGと実写の合成に取り組んだ映画なのである。多分。

「多分」というのは、「“マスク”という映画を観る限りではそう感じる」という意味である。

『何回も観たけどそんなの全然感じなかったぞ。』というアナタのために、この映画の実写合成黎明期を感じさせるポイントをお教えしよう。

ポイントは二つある。

一つ目は『3DCGが合成されているカットでは解像度がほんの少し低下する。』という点。

今も昔も殆どの映画はフィルムで撮影しており、フィルムには“解像度”の概念はない。しかしそこに合成する3DCGはデジタルデータであり、解像度の概念が存在する。
フィルムに直にプリントして合成できるなら別だが、普通、実写合成の際にはフィルムの映像を一度デジタルデータに変換し、3DCGを乗せた状態で再びフィルムにプリントするのだ。
一口に「デジタルデータに変換する」といっても、当時ですらかなりの高解像度で変換したのは間違いないが、ノンリニア編集も黎明の時代であるから恐らく何らかの圧縮方式を使っていたのだろう。マスターラインに戻した時には解像度が一致しなかった。もちろん、普通のヒトならよっぽど注意しなければ気づかないほどの不一致である。

判りやすいのは、スタンリーが最初にマスクを被るシーンだと思う。シーンごと丸々デジタルデータに変換していれば違和感がなかっただろうに、ここではシーンの途中でデジタルデータに乗り替えてしまっている。よーく観れば判るはず。

二つ目は『ライティング』。

実写と3DCGを違和感なく合成する際に、最も重要なのはライティングである。
どれほど精細にモデリングされたオブジェクトであっても、それを照らす照明が実際の撮影現場と異なっていたら、絶対に実写素材とは馴染まない。例えばキーライト(主たる光源)の照射角がズレているだけでも、人間の目は違和感を感じ取ってしまうのだ。

じゃあ『撮影現場と同じ照明を再現すればいいだけじゃないか』と思われるかもしれないが、我々の住む現実世界に飛び交う光は皆が思っているよりも複雑に反射する。
例えば今、自分のいる部屋の照明を見て欲しい。仮にその部屋の照明は天井にひとつだけしかないと仮定したとしても、その部屋を照らしているのは照明器具だけではない。照明器具から発せられた光は壁や机、コップや椅子に反射・拡散して、部屋の中にある物体全てが照明となって室内を照らしているのである。

『机の上の黒い折り紙は光っていない』と思ったとしてもそれは間違い。『目で見えている』ということは即ち『光を反射している』と同義なのだ。

少し話がそれてしまったが、3DCGの世界では現実世界のような複雑な光の拡散、及び大気による減衰等をそのままシミュレートするのは事実上不可能なので、レンダリングの際に『光子が反射するのは16回までとする』のような現実にはありえないような制限を設定する。…そしてそれが合成する実写素材との壁になるのだ。

現在ではコンピューターの性能も飛躍的に向上し、かなり現実世界に近い環境照明も可能になったが、この映画が制作された当時はそうではなかった。
ところが、この映画“マスク”では、この問題を画期的な方法で解決している。

それは『実際に撮影する実写素材のライティングの方を3DCGに合わせる』という方法だ。

具体的に説明すると、3DCG合成のシークエンスのほとんどでキーライト(主たる照明)に青色の照明を使い、フィルライト(キーライトの反対側から照らすサブの照明)に赤色の照明を使っているのだ。

普通の白色、もしくは暖色照明のみのロケーションでは拡散光の不自然さが命取りになってしまうが、キーとフィルを準補色の青・赤を使い、あえて『普段の生活ではありえない環境光』にしてしまうことにより、現実のロケーションを強制的に3DCGの空間に近付けているのだ。

この手法は漫画から飛び出したような世界観と、ポップなカラーバランスを許容できる“マスク”だからこそ可能な離れ業なのである。

…とまあ、技術的なオハナシは抜きにしても、この作品は老若男女問わず自信を持ってお勧めできる映画です。

ジム・キャリーの人間離れした演技は実に見事だし、若かりし頃のキャメロン・ディアス(注:2)も非常に可愛い。ゴミの島公園で「不思議な色ね。あのピンクとグリーンと…。」と言った直後に無言でスタンリーを見つめる横顔などは、そりゃあもうキュン死すること請け合いである。


(注:1)コピーガードが掛ったビデオがきれいにダビング出来なかったのならAVもダビングできなかったんじゃないの? と思われそうですが、AVはパッケージを良く見てコピーガードされていない物ばかりを選んで購入していたので大丈夫だったのです。最初から売る気満々でなんだか不純ですが…。

(注:2)この映画部の記事では、主に柴田やでべが役者の名前を発音に近いカタカナで表記(キャメロン・ディアズとかケビン・コストナーとか)することがありますが、僕は現在の日本で一般的に通用する表記をするようにしています。理由は2つ。(1)そもそも検索エンジンに引っ掛かりにくくなるのは嫌だから。(2)ウマ・サーマンとかミラ・ヨボビッチとか呼ぶのには抵抗があるから。

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