アジアンタムブルー

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監督:藤田明二
出演:阿部寛、松下奈緒、小島聖、佐々木蔵之介、村田雄浩
時間:110分
公開:2006年
キャッチコピー:
あなたがくれた、いちばん美しい時間
ジャンル:
恋愛余命

コメント一覧

石田憲司 | 簡易評価: まあまあ | 見た日: 2012年11月06日 | 見た回数: 1回

観始めて20分くらいで、なにか引っかかるものがある。

・・・ん?もしや余命系では?

みたいな予感を感じてしまいました。いやー、我ながらいい感してますな。しかも冒頭で阿部寛が何かを眺めているシーンを見て、死ぬのは彼ではないね。ではこちらか。という全体像まで。

話自体はそんなに悪くはない。ケータイ小説のような笑えるポイントが少ないのは若干大人向けだからかな?

主演は阿部寛に松下奈緒さん。

阿部さんに関しては結構くたびれた無頼漢。ですが情に厚かったり、世間に関心がないようで・・・と、なんともかっちょいい役どころでした。
まぁ、阿部寛がイタリアに行って現地の人と会話したりしてるとこを見るとあまりに違和感がなくてちょっと面白かった。いやー、なんせ「テルマエ・ロマエ」でギリシャ人やっちゃうくらいですし、さすがだなと。

松下さんに関しては後述。

また映画自体(というか話自体)も悪くはない。大人な感じで好感がもてましたよ。なんといっても、無理やり涙をさそうというあざとさ・エグみがないのがいいし、ででーんと音楽に乗せて盛り上げるんだか泣かせるんだかの演出もなく、結構淡々と静かに流れていくさまは結構いいじゃないの。とか思っちゃいましたよ。

お?そんなにいいのか?いや、そこまでじゃない。

じゃ、(せっかくの余命系ですし)イマイチな部分もクローズアップして書いておきましょう(一応内容に触れるとこはネタバレでね)かね。

まず、これは彼女のせいかと言われるとそんなことはないとは思うんですが、船越英一郎と同様、高島礼子にも若干のテレビドラマ感、2時間ドラマ感が伝わってきて(勝手に思ってる)とたん、安っぽく見えちゃうんだなー。
まぁ、登場シーンが少なかったのが救いでしょうか。

で、それ以上に気になるのは、主演女優松下さん。あるいは彼女に対する演出方法?ま、それは別段この映画だけに言えるこっちゃないんですが、もうちょっと細部にまでこだわってくれたら良かったのになぁ。

ここから先はお話の核心に関わる記述があります。このリンクで読み飛ばせます。あるいは次の見出しにスキップしてください。

例えばですね、

「進行性のスキルスでどこに転移するかによって変わってきます。」
「胃の方に言ったらなんにも食べられなくなって、30kgになっちゃうことも・・・」

そんな死の宣告を受けた松下さん。待てよ、まず、手の施しようがない状態まで何の予兆もないもんですか?めっちゃ元気に山登りしたりしてましたが、そこで病状が発覚するまで、めちゃくちゃ元気ではないか。そーいうもん?もうちょっと、なんかしらの微妙な予兆が垣間見れても・・・。
まぁ、そこは進行性ということで、急激に。と言う事なら大目に見ましょうか。

じゃ、次のポイント。激ヤセアタリマエ。と、怪しい通信販売商品みたいな宣告を受けているわけですが・・・おや、血色もいいし、痩せこけていく素振りすら見えない。

いやね、誰も「マシニスト」のクリスチャン・ベイルみたいになりなさいとは言ってない。ただ、一応そういう病状なら、もうちょっとやつれたり痩せ細ろえたり、そ~言った最低限のことをやらないから日本の余命系はちょっと笑える(僕だけか?)んですってば。

「余命一ヶ月の花嫁」の彼女もタイガイでしたが、今作の松下さんもそれにまさるとも劣らず。といった感じです。やりますね。松下さん。
メイクなりなんなりで処理してくれないにせよ、そこは大女優、なんとなくそんな印象をもたせれる演技ってのがあるとまた違うでしょうに。

また、貧乏で頼る人もいない状況なはずなんですが、結構広めな部屋に一人住まい。それなりに小綺麗にまとめてたりするわけですし、意匠だって常に新しいっぽい綺麗なものばかり。でも1000円のピーラーはきにいったのに高いわね。みたいな。

若干知的な印象がある彼女なので、あまり物事を知らないピュアな感じってのがちと難しい?ニースをナイス(nice)とか読んじゃうようには見えないんだなー。これはキャスティングの問題でしょうか。

隠しテキストはここまでです。

ちなみに、松下さんは今作が映画デビュー作ですね。今作。「未来予想図 〜ア・イ・シ・テ・ルのサイン〜」に今作。今後とも期待大の逸材です。

ただ、今作に関しては、その辺の甘さが目につくっちゃーつくんですが、他にもこれよりひどい作品もいっぱいあるんで、まー、単なる難癖つけてるだけ、みたいな感じなのかもしれません。

ということでひとまず今作の評価、前述のとおり、大人向けで結構シックにまとめているのは原作の力かもしれませんが、引っかかる部分もないことはないですが、それほど映画自体をダメにしてることもなく、まともに見れましたね。

余命系ということで期待(何を?)している人もいるかもしれませんが、
「まー、フツー。思ってた(期待してた)ほど悪くなかったよ。」というコメントが一番しっくり来るかな?