ゲゲゲの女房

画像表示切り替え

Amazon で ゲゲゲの女房 を買う

監督:鈴木卓爾
出演:吹石一恵、宮藤官九郎
時間:119分
公開:2010年
キャッチコピー:
お見合いから5日後の結婚。夫婦になる──
ジャンル:
ドラマ

コメント一覧

でべ | 簡易評価: なかなか | 見た日: | 見た回数: 1回

わたしの人生、水木しげるに気持ちを動かされるのはこれで3度目だ。

一度目は子供のころ。
わたしは怖がりだった。お風呂場で頭を洗うとき目をつむるのが怖い、夜中に尿意で目がさめてもトイレにいくのが怖い。怖いものはそのときどき、いとこの家にあった、おどろおどろしい文字が並ぶホラー漫画の表紙だったり、レクター博士だったり。いま思い返すと、お風呂で頭を洗っている背後にレクター博士がいる設定で怯えている状況はなんだか滑稽なんだけど、まあそのときは真剣だったわけで。とにかく、いろいろ怖かったわたしの、一番最初の対象は「ぶるぶる」だったと思う。水木先生の描いた妖怪大図鑑に載っていた妖怪で、見た目はいかにもな古式ゆかしき幽霊のてい、夜道をひとりで歩いているときなど、怖いな、と感じた瞬間、寒気がしてブルっと身震いする、これはぶるぶるが取り付いたからだとされる。そのいかにも幽霊らしい見栄えもだけど、「怖いときブルっとなる」状態は幼いわたしにも理解可能で、当然体験済みなので、あのときはヤツに取り憑かれてた!そう思うとまた怖くなり、ブルっとなってしまい、きゃーぶるぶるが来た!ってさらに怖くなる悪循環。整理して文章にしてみると、なんて悪徳な妖怪だろう。ぶるぶるは水木先生のオリジナルではないそうだけど、いまでもあの妖怪図鑑のぶるぶるの絵は覚えている。

二回目は大学生。
演劇の関係で出入りしていた京都芸術センターのギャラリーで水木しげる展をやっていたので、なんとなく見に入った。たぶん単純に知った名前だったからだと思う。もうぶるぶるは怖くなかったし。
そこようやく水木しげるのことを知った。「ゲゲゲの鬼太郎」のアニメしか見たことがなかったわたしは彼が描く緻密な点描の妖怪たちに圧倒されてしまった。ただ細かい、上手いという以上の怨念のような愛のような。日本だけでなく世界各地に伝わる妖怪(のようなもの)の絵もあり、それが日本の妖怪とおなじタッチで描かれて混在している不思議。
戦争で片腕をなくしたことも、壮絶な半生もそのときに知ったと思う。

そして三回目が「ゲゲゲの女房」。
奥さまの書かれた本が流行ったそうで、ドラマ化され、映画化され、なにかと話題になったのは知っているけど、その流行り感は他人事で関心もなく。ぶるぶるが怖かったことも妖怪画に愕然としたことも、ぼんやりした思い出のまま見た映画はなかなか面白かった。でもこれ、映画の良し悪しというより、もう水木しげるという人間が面白いってことじゃないだろうか。

貧乏はいいんです。命まで取りゃしませんから。

石田憲司 | 簡易評価: まあまあ | 見た日: 2013年06月11日 | 見た回数: 1回

NHKのイメージが強くて、どうしても松下奈緒さんがちらついて困りますね。正直映画も彼女が演じてるんかと思い込んでました。
一方で水木さんを演じるのは、これまたNHK朝の連ドラ「あまちゃん」作ってるクドカン。ただしテレビ放送は民放で・・・。

ということで、のっけから違和感たっぷりの今作。録画してから半年くらいたってやっとこさみてみました。松下さんの個人的な印象の悪さ(参考:「未来予想図 〜ア・イ・シ・テ・ルのサイン〜」)が頭にあったぶん、何となく録画したはいいものの見る気が起きずに寝かしてたんですよ。

ではどうでしょう?

思ってたよりはよかったです。

まぁ、ちょっと妖怪とかの描き方は微妙でしたし、赤貧時代の悲壮感もなく、話全体の起伏もそれほど激しくないんでちょっと眠いのは眠いんですが、話自体はいい意味で日本映画らしいコンパクトで微笑ましいし、なんといっても最初の思い込みの部分がいい意味で裏切られたという感じなのかなぁ。