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40歳の童貞男 The 40 Year Old Virgin
画像表示切り替え監督: | ジャド・アパトー |
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出演: | スティーヴ・カレル、キャサリン・キーナー、ポール・ラッド、ロマニー・マルコ、セス・ローゲン |
時間: | 132分 |
公開: | 2005年 |
ジャンル: コメディ、恋愛 |
コメント一覧
尾内丞二 | 簡易評価: おすすめ | 見た日: 2008年05月28日 | 見た回数:
でべ | 簡易評価: おすすめ | 見た日: 2008年05月28日 | 見た回数: 3回
エロコメは痛い。
たいていの場合、この手の映画は精神的にも肉体的にも痛くてむず痒く(ときには気持ち悪くも)なってしまい、あまり得意じゃない。でもこの映画なら最後まで安心して観ていられる。
なんでこんなに落ち着いて観ていられるのかなーと思えば、「40歳」というだけあって大人なのだ。
もちろんそれなりにえげつない話もでてくるが、青春あやまちモノにありがちな「あ〜そんなことしない方がいいのにな〜」とか「今そこで見栄を張ると後で大変なことになるよ〜」というお決まりのパターンがなく、40歳の童貞男はとても正直で、常識的で身の程をわきまえた大人。周りのふざけた同僚も、ふざけながらも経験値が高く、行き過ぎる前にまともな態度をとったりする。
すがすがしくハッピーエンドを受け入れられる良作。
この映画の主人公は40歳にして童貞の男である。
近年“オタク”という概念が『OTAKU』として英語圏でも親しまれ始め、オタクを主人公に据える映画が作られるようになった。
日本の社会通念上もそうなのだが、映画の中に登場するオタクはただ“格好悪い”というだけでなく『人間として必要なものが欠落している』とか『心の底では今の自分を変えたいと思っている』ような否定的な描かれ方をする。
…それがいわゆるオタクではない大多数の人々にとっては一番理解しやすい構図なので仕方がないコトなのだが、実際には“オタク”ほど充実した人生を送っている人々はいない。
いかに『非生産的』と言われようと人生の大半を趣味に費やし、己の趣向を追求し続ける集中力はその他大勢の“普通の人達”など足元にも及ばない。
…そもそも『生産的』な趣味なんてあるもんか。
この映画の主人公はアニメや映画のキャラクター商品を集める“フィギュア・オタク”なのだが、彼の私生活は清々しいほどに健康そのものである。
職場の同僚たちは『お前が童貞なのはオタクだからだ。』と言わんばかりに彼の私生活を引っ掻き回し“更正”させようと躍起になるのだが、実際には私生活に問題を抱えているのは「自分は普通だ」と思っている同僚達の方なのである。
たとえ他人から白い目で見られようと、自分の心に正直になることほど真摯で誠実なことはないのだ。
この映画はそれを教えてくれる迷作である。