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ルーム ROOM
画像表示切り替え監督: | レニー・アブラハムソン |
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出演: | ブリー・ラーソン、ジェイコブ・トレンブレイ、ジョアン・アレン、ウィリアム・H・メイシー |
時間: | 118分 |
公開: | 2016年 |
キャッチコピー: はじめまして、【世界】。 | |
ジャンル: サスペンス、ドラマ |
コメント一覧
でべ | 簡易評価: なかなか | 見た日: 2019年01月14日 | 見た回数: 1回
石田憲司 | 簡易評価: おすすめ | 見た日: 2016年11月17日 | 見た回数: 1回
拉致犯罪の被害者とそこで生まれて外の世界を知らない子供の話。
よかった。
もうちょっとドロドロ黒く犯人と対決するのかと思ってたら、主題はそういったサスペンス調ではなくって、そんな外の世界から隔絶され、ただただ拉致された部屋のみで育ってきた少年と、拉致されるまでは普通に暮らしていた母親の解放後の人間ドラマ。みたいな感じですね。
ただ、そうは言ってもサスペンス仕立てな監禁中の生活や子供の世界観、脱出に至るまでの前半の課程も印象深かった。極限状態の方ですんでそりゃそうなんですがね。その部屋が全てな子供が、脱出過程で初めて青空を見たところとか、逃げる時にちゃんと走れないとかも良く出来てる。
また、後半の人間ドラマについては、いやー、やっぱり子供の柔軟性が目につくなぁ。お母さんの方はかなりダメージ受けたままなのに対して、子供はそれらも全部受けとめちゃってるし。
おばあちゃんと本当に打ち解けた瞬間とか、ラストで監禁部屋を見に行って、そこから去る時の子供・親それぞれの部屋に対する受け取り方とか、いや、そんな長い映画じゃないんですが、かなりの満足度。
ちょい甘いかもですが、オススメ。
こういう映画はうまく批評したいんだけど、いい言葉が見つからない。こころの中にふつふつと小さなあぶくがたくさん沸いて、そわそわするばっかりで、拾いあげてまとめるのがむつかしい。
ので、そわそわはそのまま置いておく。仕方ないし、それはそれで良いような気がする。
センセーショナルなサスペンスを想像していたんだけど、監禁事件そのものを取り扱う映画ではなく、少年の、自分と世界の関係構築の映画でした。
監禁下の「部屋」で生まれた少年、ジャック。5歳を迎えるまで外の世界を知らず、小さな「部屋」の中のママとふたりきりの生活が彼のすべて。それがあるとき、急に終わる。それはもちろん世間的には喜ばしいことなのだけど、ちいさな子供からすれば、急激な環境の変化と膨大な情報のなかに放り出されるわけで、良かったのかどうかも「分かんない」状態。
少年が自分を取り巻く小さな世界を飛び出して(もしくは強制的に引きずり出されて)より大きな世界に対峙する物語で、私の記憶に残っているのは、10歳前後のもうすこし大きな子たちばかりだった。もうすこし自我があって、もうすこし自分の置かれた環境を認知できるような。
とにかくジャックを演じた少年が見事でした。なんならまだ親の手のかかる子供で、大人のように理解したり承諾はしていないけど、子供なりの理解をしようと努力していて、彼なりに状況分析し続けている。大人から見えるジャックの融通のきかなさや頑固さと、彼自身の中で起こっている必死の努力とが、彼の表情やちょっとした行動から見て取れて、5歳児とは思えない演技力でした。ジャックを演じたジェイコブ・トレンブレイくんは、実際は当時8歳だったそうだけど、それでも『アイアムサム』のダコタ・ファニングちゃんくらい評価されてもいい気がする。
原作小説は「インサイド」と「アウトサイド」の上下二巻に分かれているそうだ。映画を見たあとだと、その構成にも納得。大きさは違えど、ジャックにとってはどちらも確かな「世界」で、どちらにも喜びと苦しさがある。内側から思う外と、外側から思う内の隔たりをきちんと最後に繋げてくれたのも良かった。