インサイド・マン Inside Man

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Amazon で インサイド・マン を買う

監督:スパイク・リー
出演:デンゼル・ワシントン、ジョディ・フォスター、クライブ・オーウェン、クリストファー・プラマー、ウィレム・デフォー
時間:128分
公開:2006年
キャッチコピー:
それは、一見誰が見ても完璧な銀行強盗に思われた…。
ジャンル:
サスペンス犯罪

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柴田宣史 | 簡易評価: おすすめ | 見た日: 2013年01月31日 | 見た回数: 2回

これはすごい!

スパイク・リー作品なのだけど、そんな社会風刺というか運動系でもなく、一級のエンターテイメントに仕上がっている。

ちゃんと丁寧に書きたいのだけど、ちと忙しいので、以下、断片的に、でも完全ネタバレでメモしておきます。これから見ようと思う方は、ネタバレは読まない方がいいです。

ここから先はお話の核心に関わる記述があります。このリンクで読み飛ばせます。あるいは次の見出しにスキップしてください。

銀行強盗の一味(4人組、リーダはクライブ・オーウェン)は、塗装業の格好で銀行に押し入り、手早く制圧した後、人質たちをすべて自分たちと同じ格好をさせる。人質の中にはラビ(ユダヤ人)もいるし、銀行の従業員もいる。銀行強盗の一味は、お互いを個体識別しづらい名前(スティーブン、スティーブなど)で呼び合う。

自分たちと同じ格好をさせる際、携帯電話を隠し持っている人間がいないかを確認する。この確認のため、携帯電話を隠し持っていることを秘密にしていた銀行の従業員の一人を見せしめに乱暴する。この従業員のおかげで、ほかに携帯電話を隠し持っている人物がいなくなる。

未解決事件を抱える刑事(デンゼル・ワシントン)に、この事件の対応がまかされる。その未解決事件は、デンゼル・ワシントン自身が疑惑の対象になっていて、刑事は据わりの悪い気持ちを抱えながら現場に向かう。

銀行強盗の一団は人質のための食料や、逃走用のバスとジェット機を要求する。交渉チームは食料であるピザの箱に盗聴器を仕掛けてピザを差し入れる(ここで、Amazonで買えるペン型盗聴器がちらっと登場する。この盗聴劇にも楽しいネタがあるのだけど、映画を見たらいいので、もう省略)。

その銀行には、銀行の会長(クリストファー・プラマー)の後ろ暗い秘密の入った、記録のない貸金庫がある。銀行の会長は、自分の秘密の貸金庫がある銀行に強盗が入ったと聞き、敏腕弁護士(ジョディ・フォスター)を差し向け、自分の秘密を確保しようとする。

敏腕弁護士は市長の秘密を握っているようで、その秘密をたてに、現場に割り込む権限を得る。刑事は、未解決事件を不問にする、という取引と市長の強権の前に、弁護士の介入を許し、弁護士が銀行強盗のリーダと交渉できるように対応する。

敏腕弁護士は、

  • いま投降したら、刑の軽減を約束し、出所時に200万ドルを支払う
  • あるいはある貸金庫をあけさせてもらえれば、相応の礼をする

という交渉をする。

ところが、銀行強盗グループは、その貸金庫のことを当然知っていて、その貸金庫の中身こそが目的であることが明らかになる。──つまり、交渉は決裂する。また、その貸金庫の中身は、第二次大戦中、銀行会長がおかした戦争犯罪(ナチスへの協力)の証拠であることもわかる。

弁護士は現場を離脱するが、刑事は、そもそもの要求──ジェット機とバス──が、無茶な要求であることから、犯人は何らかの理由で事態の引き延ばしをはかっていると仮説を立てる。で、ジェット機が用意できた、と嘘をつき、人質の安全を確認するために、銀行への立ち入りを要求する。

そこではじめて銀行強盗グループのリーダと刑事が出会う。刑事は犯人グループと同じ格好をした人質たちを確認し、リーダとすこし雑談をする。自分がいま結婚を迫られているが、金銭的問題で結婚が難しい、と。リーダは、愛しているのだったら金の問題など些末だ、という。そんな雑談のすきに、刑事はリーダを取り押さえようとするが失敗する。銀行強盗団は、この刑事の行為に対して、見せしめに一人の人質を公開処刑する。

人質死亡から、刑事は降板を命じられるが、その直後、銀行強盗団の要求を記載したものがそのまま盗聴器になっていて、交渉グループの内情は銀行強盗団に筒抜けだったことがわかる。人質死亡を受けて、警察は強硬突破を決定するが、その内容も筒抜けになっている。

強行突破の際、銀行強盗団は武器を捨て、人質たちにまぎれて脱走する。混乱する中、誰が犯人で誰が人質なのかはもうわからない。公開処刑されたとおぼしき人物は存在せず、かわりに血のりのセットが発見され、誰も殺されていなかったことがわかる。また、銃器類もすべておもちゃであったことがわかる。

人質全員に対して、長い尋問が始まる。

* * *

面白いのはここから。

弁護士は、明らかに任務に失敗しているのだけど、しれっと「貸金庫の中身は銀行強盗団が持っていったが、それをタネにゆすりにきたら、買い取ればいいので、安全は確保された」とか言っちゃう。それだけでなく、戦争犯罪をネタに銀行会長をゆすりにかかる。

犯人が誰だか分からないまま、事件はお蔵入りとなる。死亡者はなく、金銭はいっさい盗まれておらず、貸金庫の中身も記録上は被害がない。いや、ひとつだけ怪しい貸金庫がある。銀行開設当初から記録がつけられていない金庫だ。

銀行開設当初ということから、その持ち主は銀行の会長ということがわかる。刑事は、その貸金庫を裁判所命令で開く。そこにはひとつの指輪とメモがおいてあった。メモは銀行強盗団から刑事に当てたメモ。内容は「リングを追え」。

銀行強盗団のリーダは、まだ捕まっていなかった。銀行の内側の壁を二重にして、一週間のあいだそこに潜んでいたのだった。彼が銀行の正面玄関から出る日、銀行の前では車でリーダを待つ一味がいる。そこにはあの人質の中にいたラビがいる。彼が正面玄関から出る日は、たまたま刑事が貸金庫を開けにきた日だった。すれ違い様、肩をぶつける刑事と銀行強盗団首領。しかし刑事は気づかない。

リーダは貸金庫に入っていた大量のダイヤを仲間に渡す。ラビは数々のダイヤを確かめつつ、リーダに「あの指輪はどうした?」と聞く、この質問に対して「信頼できるやつに預けてきた」。……いやあ、いいでしょ。途中、刑事とやり合うところで、刑事が信頼できる人物であると気づくのですね。そして刑事が持っていた方が、銀行会長の罪をきちんと裁くことができる。

刑事は指輪を調べ、その指輪の持ち主が、第二次大戦中、強制収容所で死んだユダヤ人の富豪であることを知り、かつ、そのユダヤ人が死んだ理由が、銀行会長のナチスへの協力によるものであることを突き止める。

刑事は会長に罪を宣告し、弁護士のもとに立ち寄る。そして、弁護士と自分自身の会話を秘密裏に録音していたペンを弁護士に渡す。

家に帰る刑事、ポケットには一粒のダイアモンドが入っている。あの肩をぶつけた人物だ──やつが犯人だった。とにやりと笑う。

* * *

さて、映画のタイトルは「インサイド・マン」。

誰がインサイド・マンなのかといえば、もちろん一週間こもっていた銀行強盗団首領なのですが、もうひとりのインサイド・マンがいるはずです。つまり、この銀行の貸金庫に会長の戦争犯罪の秘密が隠されていることを知り、強盗を手引きした、銀行の内通者。これが、携帯電話を鳴らされた人物ですよね。彼が見せしめになることで、人質たちは携帯電話を持つことができなくなった。彼がユダヤ人と冒頭に話し合っていますが、このユダヤ人は、もしかするとその富豪の関係者なのでしょうか。

隠しテキストはここまでです。

結局長くなっちゃった。

これらの伏線等を確認するために、二回見ちゃいましたが、十分楽しかったです。

Amazonの評価はかなり二分されているようで、だめな人にはだめなのかもしれないけれど、僕は文句なしのおすすめで。

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