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でべ | 簡易評価: なかなか | 見た日: 2019年04月27日 | 見た回数: 1回
映画には温度感みたいなものがあって、映画によって厳しい寒さだったり、ほのぼのした暖かさであったり、激しい暑さだったりする。それは音楽や風景の色やちょっとした間、いろんな要素が絡み合って決まる。ストーリーを追うのとは別の尺度にある温度感の演出が、映画の醍醐味だと思う。明確には分類できないけど、確実に好みがあって、あんまりポカポカするだけの映画はつまらないなあと思う。 この映画はハートウォーミングで、ストーリーもありきたり。でも、空気感はポカポカというより、サバサバして乾燥している。そのサバサバ感が、感動映画は面倒臭いと思ってしまうわたしには、ちょうど良い温度感だった。
主人公のベンは、どちらかというとじめっとした人物。作家の夢を諦めて、職を得るために介護の資格を取る。離婚届にサインする覚悟もできず、ぐずぐずしている。はじめての仕事で担当になったのは、筋ジストロフィーのティーンエイジャー、トレヴァー。下品なジョークと悪ふざけが過ぎるせいで、介護の人が続かないのだという。そんなトレヴァーの趣味は、アメリカのがっかり名所マッピング。巨大ウシ、世界一深い穴、などなど。心を許しはじめたふたりは、一週間のドライブ旅行に出かけることになる。 道々で出会いと別れを繰り返すロードムービーは得てして、湿っぽくなりすぎないサバサバ感があるものだが、この映画で印象的なのはトレヴァーの母親のサバサバ感だった。息子に固執しすぎず、でも愛情深く、そして自分の人生をしっかり生きている女性。彼女のサバサバ感のおかげで、ベンとトレヴァーは、純粋に自分自身のために旅を進められたと思う。 ひねくれ者のトレヴァーは描き方によっては幼稚な駄々っ子のように見えたかもしれない。でも母親との関係が、彼をただの悩めるティーンエイジャーにしていた。いざ新しい挑戦をするとなると尻込みする臆病者のトレヴァーも、「愛い奴」と思って見ていられる安心感があった。
見終わって、丞二と感想を言い合いながら、ロードムービーの定義、良さについて話した。『スタンドバイミー』のラストシーンのナレーションとか、『フォレスト・ガンプ』はロードムービーだと思う、とか。
これは、Netflix オリジナルの配信映画なので、Amazonには英語版も日本語版もディスク販売がなかった。今後こういう映画も増えていくのかしら。
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映画には温度感みたいなものがあって、映画によって厳しい寒さだったり、ほのぼのした暖かさであったり、激しい暑さだったりする。それは音楽や風景の色やちょっとした間、いろんな要素が絡み合って決まる。ストーリーを追うのとは別の尺度にある温度感の演出が、映画の醍醐味だと思う。明確には分類できないけど、確実に好みがあって、あんまりポカポカするだけの映画はつまらないなあと思う。
この映画はハートウォーミングで、ストーリーもありきたり。でも、空気感はポカポカというより、サバサバして乾燥している。そのサバサバ感が、感動映画は面倒臭いと思ってしまうわたしには、ちょうど良い温度感だった。
主人公のベンは、どちらかというとじめっとした人物。作家の夢を諦めて、職を得るために介護の資格を取る。離婚届にサインする覚悟もできず、ぐずぐずしている。はじめての仕事で担当になったのは、筋ジストロフィーのティーンエイジャー、トレヴァー。下品なジョークと悪ふざけが過ぎるせいで、介護の人が続かないのだという。そんなトレヴァーの趣味は、アメリカのがっかり名所マッピング。巨大ウシ、世界一深い穴、などなど。心を許しはじめたふたりは、一週間のドライブ旅行に出かけることになる。
道々で出会いと別れを繰り返すロードムービーは得てして、湿っぽくなりすぎないサバサバ感があるものだが、この映画で印象的なのはトレヴァーの母親のサバサバ感だった。息子に固執しすぎず、でも愛情深く、そして自分の人生をしっかり生きている女性。彼女のサバサバ感のおかげで、ベンとトレヴァーは、純粋に自分自身のために旅を進められたと思う。
ひねくれ者のトレヴァーは描き方によっては幼稚な駄々っ子のように見えたかもしれない。でも母親との関係が、彼をただの悩めるティーンエイジャーにしていた。いざ新しい挑戦をするとなると尻込みする臆病者のトレヴァーも、「愛い奴」と思って見ていられる安心感があった。
見終わって、丞二と感想を言い合いながら、ロードムービーの定義、良さについて話した。『スタンドバイミー』のラストシーンのナレーションとか、『フォレスト・ガンプ』はロードムービーだと思う、とか。
これは、Netflix オリジナルの配信映画なので、Amazonには英語版も日本語版もディスク販売がなかった。今後こういう映画も増えていくのかしら。