刃物の雑学いろいろ
裁ちバサミ(布裁断用の鋏)や包丁で紙を切ってはいけない?
紙を切るときに使う工作用のはさみは、包丁や裁ちバサミに比べてかたいものを切るように想定されいてる。
包丁や裁ちバサミは、工作用はさみにくらべて、柔らかいもの(食材や布)を切ることを想定されていて、より繊細にできている。繊細なので、紙のようなものを切ると、刃こぼれしやすいらしい。
また、工作用はさみは刃先の鋭さによる「切れ味」によってのみで紙を裁断している訳ではない、ということも加味した方が良さそう。
たとえば、工作用はさみをカッターのように使っても、カッターのように紙は切れない。それに子供用はさみの中にはほとんど切れ味を実感できないプラスティック製のものまである。
これははさみがカッターのように、切れ味だけで裁断しているのではなく、てこの原理を使って切っているということである*1。もちろん梃子の原理だけでなく、ある程度は先が鋭い方が、工作用はさみも切れ味はよいことは言うまでもない。
この繊細な切れ味を維持するために包丁や裁ちバサミはこまめに手入れをする必要があるそうな。工作用はさみのメンテナンスについては後述する。
ただ、包丁の研ぎ具合の確認で、研ぐ前と研いだあとに紙を切ってみるのは、確認方法としてポピュラーな手段らしい。
ちなみにデザインカッターなんかでも、和紙を切るときより、洋紙のほうが刃こぼれしやすいらしい。
ニュースソース
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1315484978
波刃包丁は、直刃包丁よりよく切れるのか?
よく切れるらしい。
波刃包丁は、細かく波状になっているために、刃の長さが、結果的に同じような大きさの直刃包丁より長くなる。
また、こまかく引っかかりがあるために、パンやトマトなどの滑りやすい食材でも切りやすくなるらしい。
ニュースソース
http://pub.ne.jp/toginon/?monthly_id=201205
波刃包丁のほうが切れ味が良いとしたら、なぜ日本ではあまり発達しなかったのか?
そのまえに波刃包丁の歴史はどんなものなのか。
Serrated knives are able to cut soft bread without crushing it; one was exhibited at the World's Columbian Exposition in 1893 in Chicago by the Friedrich Dick company (Esslingen, Germany).
http://en.wikipedia.org/wiki/Bread_knife#Bread_knife
といわけで、けっこう歴史は浅い様子。なので、こと「日本であまり発達しなかった」というのは設問自体はややおかしいかもしれない。
波刃包丁のほうが切れ味が良いとしたら、なぜみんな波刃を使わないのか
ひとつは手入れが難しいということがあげられる。のこぎりの研ぎ(目立て)が素人に困難なように、波刃の包丁は素人に手入れがしづらいらしい。
他方、上述のように切れ味の要素としてひっかかり(「ひかかり」ともいうらしい)がある。直刃の包丁でもうまく研ぐということは、このひっかかりをうまく作るということらしく、故にうまく研いでいるのであれば、直刃でも波刃包丁の効果を得られるのかもしれない。
つまり結局はメンテナンスに帰着するようす。
はさみのメンテナンス
はさみの切れ味が悪くなったときの対応。いずれも金属製のはさみの場合。
ベトベトになったとき
シンナー類で洗う。
切れ味が落ちたとき
アルミニウムを切る。この理屈は結構面白いので、下記、構成刃先を参照するとよい。
参照:構成刃先
http://www.monozukuri.org/mono/db-dmrc/cutting/basic/built-up_edge/build-up.htm
- *1 しばしば聞く小技で、定規二本を交差させて紙を裁断する、というのは、この理屈によるもの
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