動物農場 [DVD]
フォーマット | 色, ドルビー |
コントリビュータ | ジョージ・オーウェル, ジョン・ハラス, ジョイ・バチュラー |
言語 | 英語, 日本語 |
稼働時間 | 1 時間 12 分 |
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商品の説明
今、豚は太っていない。
『動物農場』
三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー提供作品
伝説のハラス&バチュラーが描いた、イギリス初の長編アニメーション。
ジョージ・オーウェルの原作による、永遠不変の権力の寓話が、ついに初DVD化!
ジョン・ハラスとジョイ・バチュラーによって1940年に設立された「ハラス&バチュラー」こと“ハラス&バチュラー・カートゥーン・フィルムス”は、1940~70年代にかけて、ヨーロッパで最大、かつ最も影響力のあるアニメーション・スタジオとして知られていました。常に新しいスタイルと技術を生み出し、新しい才能を発掘し育てたことでも有名で、イギリス国内のみならずヨーロッパ中で活躍する多くの優れたクリエイターたちを生み出しました。
『動物農場』をDVD化するにあたり、「ハラス&バチュラー」の短編を3作品収録。3作品とも「ハラス&バチュラー」が、イギリスやヨーロッパのアニメーションに与えた影響の大きさをうかがい知ることの出来る短編作品です。
残忍で無能な農場主に虐げられてきた動物たちは、2匹の有能な豚スノーボールとナポレオンをリーダーとして革命を起こす。「すべての動物は平等である」という理想を掲げ、人間を追放し、自ら農場経営に乗り出す。順調に滑り出したかに見えた「動物農場」だったが、幸せな日々は数ヶ月しか続かなかった・・・。
古きよきヨーロッパのアート感覚とイギリス独特の牧歌的な風景。また乱暴なまでのグロテスクさで描き出される動物たちの心理描写、擬人化された動きや表情が作り出すアートアニメーションとして完成度は非常に高く、そこに描かれた世界は、格差社会など、まさに現代日本の支配構造と重なっていた。
<スタッフ>
原作: ジョージ・オーウェル『動物農場』
監督: ジョン・ハラス&ジョイ・バチュラー
<映像特典>
●ハラス&バチュラー短編作品
-「オートマニア2000」
-「マジック・キャンバス」
-「シンフォニー・オーケストラ」(「ホフナング・シリーズ」より)
●「動物農場」制作者たちの舞台裏
●音声解説 -ブライアン・シブリー(アニメーション研究家)-
●予告編集
★封入特典:宮崎駿インタビュー(「熱風」2008年11月号に掲載されたものと同内容)
登録情報
- アスペクト比 : 1.33:1
- メーカーにより製造中止になりました : いいえ
- 言語 : 英語, 日本語
- 梱包サイズ : 18.03 x 13.76 x 1.48 cm; 75 g
- EAN : 4959241987327
- 監督 : ジョン・ハラス, ジョイ・バチュラー
- メディア形式 : 色, ドルビー
- 時間 : 1 時間 12 分
- 発売日 : 2009/6/10
- 字幕: : 日本語
- 言語 : 日本語 (Mono), 英語 (Mono)
- 販売元 : ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
- ASIN : B001T9F3PS
- ディスク枚数 : 1
- Amazon 売れ筋ランキング: - 46,196位DVD (DVDの売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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明治維新があり権力者が変わって戦争があり、高度成長期はよかったが、
それ以降は非正規労働がどんどん増えてどんどん悪くなる。
なんか今の日本とダブってると感じる。
昔の江戸後期から明治初期を旅した外国人の本では、
今のように何でもあるわけではないが、平和で争いもなく日本人が穏やかに暮らしていた、いい時代感が感じられる。
しかし今はどうだろう?
何となく日本中が殺伐としている。
遅かれ早かれ日本でも暴動が起こる時が来るだろう。
旧ソ連の始祖レーニンの右腕だったレフ・トロツキー、さらには後のヨシフ・スターリンによるその追放と独裁的な施政の開始を、ときに傲慢や強欲のシンボルにも用いられるブタというキャラクター(それぞれの名は「スノーボール」「ナポレオン」)に当てはめ、効果的に表している。ブタの圧制の下で苦役に耐える労働者を表すキャラクターは馬やロバ、あるいはアヒルの群れや卵を産み続けるメンドリであったりする。一部のメンドリは、ナポレオンへの反逆を企てたかどで途中で「粛清」される。
農場の労働者たちを苦しませる一方、スノーボールの定めた規律を自分たちの都合の良いように勝手に書き換え、享楽への耽溺を手に入れた支配層のブタたちが最後にどういう運命に遭うかは、ぜひ DVD を観て確かめていただきたい。ただ、その結末と言えども、やはり「権力は入れ代わる」ことが延々と繰り返されるのではという絶望感にも似た後味が残ったとすべきだろう。これこそが、この作品の醍醐味でもあるのだけれども。
余談ながら、動物農場“ANIMAL FARM”の「N」がロシア文字の「И」のようになっていたのは、「クマのプーさん」あたりにしばしば登場する牧歌的なイメージと言うよりも、ソヴィエト・ロシアを示すディテールと捉えるべきだろう。そうしたあたりも注意深く観ていくと、作成された時期の割に完成度の高いアニメーションという点とあわせ、いろいろ楽しめるはずだ。
宮崎駿は解説のインタビューでこの映画アニメについて次のように語っている。要約を記す。
「「動物農場」がすばらしい作品か、傑作かといわれたら、そこまでの作品ではないと思う。つまり、ぼくがいったような人間の複雑さを描くことにおいて、不徹底だと思うんです。不徹底ではあるけれど、見ておいても悪くはない映画です。自分たちの祖国は、戦時中はナチスドイツの、戦後はソ連の支配下にあった。まさに『動物農場』で描かれているような、独裁者が君臨している全体主義的な世界にリアリティがあったんです。彼自身にとって、ものすごく今日性のあるテーマだった。だからこそ、この映画をつくろうと思ったと思うんです。口ではうまいことを言いながら、まじめな人間たちをこき使って、自分は権力の上にあぐらをかいている、そういう人間の醜さをえぐり出したいと思ったんでしょう。だけど、搾取とか収奪というのは、なにも共産主義だけにあるんじゃなくて、資本主義はまさにそういう「しくみ」です。ぼくは会社というのは、誰よりもそこで生活しながら仕事している人間たちの共有の財産だと思っています。でも、それは社会主義的な考え方なんですね。いま、主流になっている考え方というのは、私有財産として株をもっている人間のほうに発言権があって、株主たちが「この経営者はダメだ。もっと儲ける経営者を選べ」といったら、経営者はどんどん変わらなきゃいけないとか、そういうアメリカ型の資本主義です。それを進めていくと、リストラをして正社員を減らして、派遣社員やアルバイトだらけにして、労働基準法のギリギリまでこき使ってポイッと捨てる。正社員は正社員でくたくたになって働いてる。いくらでも替わりはいるんだという、いまのしくみこそ、「動物農場」と同じです。」
口ではうまいことを言いながら、まじめな人間たちをこき使って、自分は権力の上にあぐらをかいて、搾取とか収奪している醜い人間……、どこの国にもいるでしょう、そういう人間がどういう人間かを皮肉たっぷりに描いた映画アニメです。個人的には、古臭くおもしろいアニメではありませんが、豚を天皇や皇族、資本家に当てはめてみると、けっこう皮肉が効いているように思います。(笑)
呼んで感想を書かされる。あらためてアニメで見たが非常にわかり易かった
できれば原書でもう一度読み返してみたい。
このアニメは存在することじたいについては十分に評価できるものと思います。
原作が寓話ですからアニメにすることになんの問題もありません。
あるとしたらこのアニメは中学生以上から大人が鑑賞対象であることくらいです。
内容はやはり小説の方が数倍面白く、特別アニメにしたところで。。という感じです。
72分では短すぎるのでは?とも思います。
まずは、「動物農場」、「1984年」を小説で読むことをお勧めいたします。
本作のクリエイターの方たちを特集した映像特典のほうでも触れられますが、資本主義陣営で当時盛んだった反共産主義プロパガンダとして、潤沢な制作費が提供されて製作されたアニメです。結末が原作と違っており、それも興行収入を気にしての変更であるのかもしれないとかいう話でした。原作者のオーウェルの意図とは随分ズレた作品になっている可能性があるということを念頭において、これはこれとして観るべき作品かと思います。
さて内容ですが、お話を単純化するために、原作よりも登場人物が大幅に減らされ、筋もよりシンプルに変わっています。
おめかしと甘いものが好きなちょっとチャラい気質の(笑)メス馬モリーや、母性的で優しい性格のメス馬クローバー、聖職者の寓意であるカラスのモーセやおさぼり上手のネコなどが背景人物化され、また動物農場と隣接する二つの農場の経営者たちは登場せず、弁護士のウィンパーは商人という設定になっています。頑固で皮肉屋の老ロバ・ベンジャミンは若いロバになり性格が素直に変えられ、お話の中での存在感が増しています。・・なんというか正直、本筋と関係ないという理由でキャラクターや設定をいじったことで、せっかくの文学的豊かさまで削いでしまっている感はいなめませんでした。キャラクターも悪役(?)のナポレオンやスクィラー、またウィンパーまでがいかにもの悪っるい顔をしていてちょっと抵抗があります。
原作で大きな象徴的機能を持っている歌『イギリスの動物達』も、メージャー爺さんが「夢で見た」と言って皆に伝授する冒頭のシーンからしてカットされ、集会の最後で何となーく歌われてしまうのもちょっと肩透かしでした。影で表現された動物達が焚き火を囲んで歌うシーンは良かったですが・・。
そもそも暗くて重たい内容の作品ですから、アニメも全体に色調が暗めですし、絵自体もラフな印象の絵柄になっているためにどうも映像的な魅力に乏しいというか、繰り返しの鑑賞となると少しきついのではないかという気がします。
原作を読むという条件付で鑑賞すべきアニメだと思いますが、政治的な事情など作品の作られた背景の丁寧な解説が特典としてついているのはさすがジブリ、と感じました。
ちなみにDVDについている宮崎駿インタビュー冊子の内容は公式webサイトで全文公開されています。ほかにも4名の文章が掲載されており、特に川端康雄さんのテキストは必読です。CIAの関与により、ラストやキャラクター造形を原作から大きく改変せざるを得なかった経緯が書かれています(決して興行的な成功を考慮した改変ではありません)さらに詳しい経緯は ダニエル・リーブ著「 Orwell Subverted: The CIA and the Filming of Animal Farm 」を読むことをお勧めします。
そして、このような寓話こそアニメーションにもっともふさわしいものです。完璧なフル・アニメである必要もありません。イギリス最初の長編アニメの本作の結末が原作と異なるのは残念ですが、歴史は支配者の都合のいいように書き換えられ、真実は虚構だという批判は、今でも重要な認識です。
宮崎駿監督は自分が映画化するなら、ブタのナポレオンをまじめに改革をやっているうちにだんだん変わっていくという複雑なキャラクターとして描くと言っていて、これは重要な認識であり、批評です(宮崎評は付録ブックレットにあり)。音声解説、特典(40年後に制作された舞台裏、短篇アニメ)も充実。
原作は角川文庫(「絞首刑」などエッセィ3篇と開高健の名エッセィ「24金の率直 オーウェル瞥見」も収録)か、『世界の文学・イギリス・アメリカ名作集』(中央公論社。古本のみ)で読めます。2009年7月、岩波文庫にも入ります。