ナイトクルージング

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監督:佐々木誠
出演:加藤秀幸
時間:144分
公開:2018年
ジャンル:
ドキュメンタリー

コメント一覧

でべ | 簡易評価: まあまあ | 見た日: 2019年06月12日 | 見た回数: 1回

仕事柄、周囲で話題になっていて、わたしも好意的に拡散していたのだけど、実は、なんだかんだ理屈をつけてこの映画を見ることはないだろうなあと思っていた。「残念、もう公開終わっちゃったのかあ」とかなんとか言って、「ちょっと見たかったのになあ」とかなんとか言って。

それが一転、本編からアフタートークまで参加した同僚のKさんの「すっごく良かったよ!出町座の公開は今週いっぱいだからみんな行って!」という強い推薦のもと、軽い風邪をおして、出町座のレイトショーに出かけることになってしまった。ものすごく正直に言うと、そのときの気持ちは「困ったなあ、あとで面白いって言えるか心配だなあ」。箱ティッシュとのど飴をカバンに詰めて、すこし重い足取りで映画館に到着。

こういうものに出会うと、わたしはいつも『レミーのおいしいレストラン』のアントン・イーゴの批評が頭をよぎる。辛口批評はみんな好きだし書くのも楽しい。でも実際にそこに存在する料理には、その何倍も価値がある。
だから批評はすまい。視覚障害者映画監督となった加藤さんと、そのヴィジュアル化に協力したすべての人たちの努力には、その何倍も価値がある。そして、それをわたしたちに見えるかたちでパッケージングしてくれた本作の佐々木監督にも。

先天的な視覚障害者が、映画を作るなんて、とんだ無理難題である。でもその無理難題を無理やり実行することで、監督である加藤さんは「自分が見ている世界」や「自分のモノの捉えかた」を、どうにかこうにか言葉にする必要が生まれる。映画というヴィジュアル表現の土俵に立って、言葉をひねり出すことで、視覚に頼って生きているわたしたちに、監督の見方が垣間見えることもあるし、なんだかよく分からないこともある。なんだかよく分からないことも含めて、監督と関係者が、真摯に向き合って伝え合おうとする工夫の過程が、日常会話とは段違いの密度で繰り広げられる。だからこそ、この課題設定が面白い。

本音を言うなら、あれこれ技術を試して関係者を増やすよりも、もっと彼自身の内なる世界の抽出や、それらの視覚表現の洗練に時間を割いたほうが、ヘンテコでカッチョいいものができたんじゃないの、と思ったりもするけど…いや、いや、多くは言うまい。

柴田宣史 | 簡易評価: なかなか | 見た日: 2018年06月12日 | 見た回数: 1回

ちょっと珍しい方式で。