![エンバー 失われた光の物語 [DVD]](https://m.media-amazon.com/images/I/91h3QeFSNuL.__AC_SX300_SY300_QL70_ML2_.jpg)
粗筋からもお分かりとは思うが、２００年の時限付き
地下都市に半ば幽閉されていた人たちが、地底から外
に出られるかというお話。
しかし、保守化するということは「こういうこと」で
（ご覧になるとわかります）、なぜこの施設があるの
か、謎の箱があるのかという問い（問題意識）がなく
なってしまい、ルーティンだけが遺ってしまう。
脱出の装置設計がされていたのにもかかわらず、誰も
その方法を知らないで上記の脱出期限が来る。
それを皆、末法の世、カタストロフィのように感じて
いる（と思われる）。だが、祭事などは予定通り開催
されて、ある意味ディストピアのようでもある（それ
は映画のテーマではないが）。
映画を観ている観客からすれば、設定に照らし、装置
というか都市全体が使用期限に来ているので、ガタピ
シいうのは当然のようにも思えるが、２世紀地下に居
れば停電がどんどん長くなっているなどの設定を加味
すると、天変地異クラスの恐怖かもしれない。
…という風に補充しながら観るのだが、皆そこまで恐
れていない感じがして違和感。
途中で斃れた７代目市長の末裔である主人公の少女が、
謎の箱の穴あき文書をもとに外界への脱出経路捜しに
奮闘する。あとは観てのお楽しみなのではあるが。
個人的には、プロデューサー群にトム・ハンクスの名
前があり、原作も著名なようなので（そのまんまシテ
ィ・オブ・エンバーという小説らしい）大変残念なの
だが、予算のせいか、脚本のせいか、地下都市のセッ
トなども含め、なぜか全体的にこじんまりした印象が
否めない。原作を活かしきれていない系？
特に地下都市の造り込み不足（？）が残念。
制作が、今風の何でもかんでもCGで置き換える風潮
の前だからなのかもしれないが。
それでも、壮大なセット（というよりロケ地選びが巧
いんだろうか？）が成功している過去の名画はあるわ
けで、本作の場合は単にセットが良くないかもしれな
い。
まあ、時限を切って細々と暮らす地下都市なので、圧
迫感や手狭な感じが現実の地下鉄などに照らしかえっ
てリアルなんだろうか？
あと、ヒーローとヒロインの人格描写が不足していて、
こうなりたいとか、感情移入させる試みが失敗してい
る。いや、批判がどぎついか…控えめに言って、試み
が足りていない。
設定が楽しめそうなだけに、色々残念だった。
ラストは一応ハッピーエンドだったけども…。
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